中学進学 2割断念 経済的理由が7割強 「深刻な問題」と政府
教育文化省は7日、ことし7月に小学校(SD)を卒業した児童438万2千人のうち、約21%に当たる94万6千人が中学校(SMP)へ進学しなかったと明らかにした。進学を断念した理由の7割強は、家庭の経済的事情だった。
中央統計局(BPS)の調査によると、進学しない児童の73%が貧困など経済的な問題を抱えている。
ハミッド・ムハンマド教育文化省初等教育総局長は、国連加盟国が2015年9月に採択した持続可能な開発目標(SDGs)で、30年までに世界の全ての子どもたちが質の高い教育や高等学校に相当する義務教育を受けられるように定められたと説明。
児童の2割が進学断念を強いられている現状について、ハミッド総局長は「深刻な問題。このままでは小学校で教育を終える子どもが増え続ける」と危機感をあらわにした。
対策として、政府は学校運営補助金(BOS)や教育カード(KIP)配布などの支援を実施。地方自治体に対しては、高校進学者が増えるよう普通高校(SMA)や職業訓練高校(SMK)での教育の質向上や、通学用自転車の貸し出しなどを進めるよう求めている。
一方、不登校の子どもの対策も課題となっている。インドネシア国内の小学生数は2588万5千人(15〜16年)で、うち0.26%の6万8千人が不登校。中学校では全生徒1004万人の0.52%に当たる5万1千人が不登校となっている。
SMAは全生徒の0.96%に当たる4万人、SMKは1.4%の7万8千人の計11万8千人がそれぞれ不登校。
今後は、家庭内で勉強するホームスクーリングなど代替となる教育方法も必要で、ハミッド氏は「不登校に陥った子どもたちを再度、学校に呼び戻すことは非常に難しい」と話した。
インドネシアの義務教育は小・中学校の計9年間で、卒業式は6月にあり、新学期は7月初旬から始まる。
教育文化省によると、15年の小学、中学校の入学者はそれぞれ420万3千人、343万6千人。16年の中学卒業生は327万5千人で、約3%にあたる9万9千人が高校に進学しなかった。(毛利春香)