繊維に1億ドル投資 産業発展に期待 中部ジャワへ誘致 中国の持ち株会社

 中国で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合でジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領に同行したアイルランガ・ハルタルト工業相は上海で開かれたビジネスフォーラムに出席し、中国の投資会社が総額1億ドルを繊維の製造工場の建設を含む産業全体に投資することで合意したと発表した。実行されれば国内繊維産業にとって上期(1〜6月)の投資額の半分を超える大規模投資となり、関係者は近隣国に押され気味の繊維産業の発展に期待を込めている。                                       
 中国・江蘇省などに基盤を置く持ち株会社が投資する。1億ドルの投資額は、上期の繊維産業への海外直接投資額(1億7936万ドル、投資調整庁公表)の半分以上の額に相当する。アイルランガ工業相は投資地域として中部ジャワ州に新設されたクンダル工業団地など複数の地域を提案した。
 政府は、繊維産業など多くの労働力を確保できる産業に対し税制の優遇措置などを設け誘致活動に取り組んでいる。
 一方で、繊維産業への投資は人件費の安価なベトナムなどの近隣国に流れる傾向にあり、2年ほど前から生産量が減少傾向だ。ジョコウィ大統領はことし1月に中部ジャワ州ウォノギリ県で行われたアパレル大手ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)の衣服工場開所式に自ら出席するなど、海外投資家に対し近隣国と比べても人件費の面で競争力のある地方に労働集約産業の誘致を呼びかけている。
 競争力の低下に危機感を示していたインドネシア繊維協会(API)は中国からの大規模投資を歓迎、今後の産業発展の布石にしたい考えを示した。
 工業省の声明によると、中国企業はことしに入り総額9億2500万ドル、271の事業に投資した。投資調整庁(BKPM)公表の資料ではことし国別で4位に入り、存在感を際立たせている。
 投資業種は鉄鋼加工などで目立ち、中部スラウェシ州モロワリ県内の工業団地に国内最初の技術を導入したニッケル精錬所を稼働。南スラウェシ州コノウェに年産60万トン規模のフェロニッケル精錬所を建設するなどジャワ島外への投資が顕著だ。ほかに機械、電機、食品、セメントなど業種は多岐にわたる。
 ビジネスフォーラムでは中国建設大手の中国鉄建と工業省は産業人材を育成するための協力関係を結んだ。アイルランガ工業相は「中国の投資家に石炭、ガス、石油化学、農業、造船、自動車部品などほかの産業への投資も呼びかけたい」と意欲を示した。(佐藤拓也)

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