国際税制の公平性訴え ジョコウィ大統領 G20首脳会合で演説 保護主義貿易に反対
中国・杭州で4〜5日に開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合に出席したジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は5日、首脳会合で演説し、公平な国際税制の整備を訴えた。世界経済に懸念が広がる自由貿易を妨げる保護主義政策に対して反対の立場を表明し、G20首脳会議を終えた。
大統領府によると、ジョコウィ大統領は国際金融などを議題とするセッションで演説。国際的に公平で透明性のある税制度の普及を訴え、他国の政策を阻害するような税制を廃止するよう呼びかけた。
ジョコウィ大統領は「不確実性の多い近年の世界経済の中で、インドネシアは投資環境改善のために必要となる税収確保に向けて活動している。そのためには公平で透明性のある国際税制が必要だ」とし、課税逃れを推進する税制の国があるために新興国の税収の低下につながっている現状を訴え、改めて公平な社会を築くうえで税制の重要性を強調した。
インドネシア政府はタックスヘイブン(租税回避地)に流れている自国資産を国内に戻すために一時的に低税率を適用するタックス・アムネスティ(租税特赦)法を運用中だ。大統領は経済協力開発機構(OECD)が中心となって策定している銀行口座情報を自動的に交換する仕組みの運用に賛意を示した。
貿易や投資をめぐっては世界的に保護主義の流れが拡大しつつあることに反対を表明。関税・非関税障壁の削減をG20加盟国が率先して進める必要性を説明し、「先進国の貿易にかかる障壁が新興国の発展を阻害する要因となっている」と強調した。
世界の脅威となっているテロ行為に対し「軍事行動の力だけで抑えつけるのではなく、ソフト、ハードの両面から取り組むことが必要」と説いた。
また会期中の4日にジョコウィ大統領は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の研究開発センターを訪問した。
同社の大容量で高速のデータ通信が可能な技術を2018年アジア大会の会場となるジャカルタとパレンバンで採用することを検討するとし、職業教育協力に向けた具体的な議論を交わした。
東南アジア諸国(ASEAN)で唯一の加盟国となるG20の首脳会合を終えたジョコウィ大統領は続いて6〜8日にラオスで開かれるASEAN関連首脳会議に出席するため、5日夜にラオスへ向かい、外交活動を続ける。(佐藤拓也、2面に関連)