ミルナさんが好きだった? コーヒー毒殺事件 犯罪学者、心理学者が証言
中央ジャカルタのカフェで1月6日、ワヤン・ミルナ・サリヒンさん(当時27)が死亡したコーヒー毒殺事件で、殺人罪で起訴されたジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(27)の第17回公判が1日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。犯罪学専門家や心理学者が証言。ジェシカ被告の不安定な性格や、レズビアンの可能性があるなどの証言が飛び出した。
召喚されたインドネシア大学の犯罪学専門家、ロニー・ラフマン・ニティバスカラさんは、事件が発生したカフェ「オリビエ」の監視カメラ(CCTV)の分析などの結果、ジェシカ被告はサイコパス(反社会性人格障害)ではないと証言した。
一方、被告の性格について「相手より優位に立ちたいという気持ちがあるほか、精神的に安定しておらず、気分が変わりやすい。他人への思いやりも忘れてしまいがちだ」と指摘。犯罪学の視点から分析すると、こうした性格を持つ人は、邪魔だと思った相手を排除しようとする傾向があるという。
ジェシカ被告には意思が強く頑固な一面もあり、「相手を傷つけずに、自分自身を傷つけてしまうこともある」と説明。また監視カメラの映像からは事件当時カフェに集まった友人のハニさんとは強くハグを交わしているのに対し、ミルナさんとは片手でハグをかわしていると指摘。ロニーさんは「ミルナさんに対する何らかの嫌悪感や後ろめたさが、言葉に出すことはなくても、自然と行動に出てしまったのではないか」と話した。
ミルナさんとハニさんが到着する前の被告の行動についても、「何度も席を移動したり髪を触ったりしており、何か気がかりなことや、不安なことがあったのではないか」と語った。
オットー弁護士は公判開始の直前、ロニーさんがジェシカ被告についての調査をすべて終えていないことや、過去に国家警察長官のアドバイザーとして働いていた経歴を持つことを理由に、中立な立場ではないと指摘し、「証人としてふさわしくない」と裁判官に申し出た。裁判長は申し出を却下し、ロニーさんを証人として認めた。
公判中に裁判長から発言を許可されたジェシカ被告は「(ロニーさんの)証言は真実ではなく、すべて嘘です」と否定。オットー弁護士も公判後に「ロニーさんの証言は信用できるものではない」と語った。
■「恋愛対象は男性」
2人目の証人はインドネシア大学の心理学者、サルリト・ウィラワン・サルウォノさん。裁判前の鑑定結果から、ジェシカ被告がレズビアンである可能性を明らかにした。裁判官は「ミルナさんが夫のアリフさんと結婚したことが、殺人の動機なのか」と質問。サルリトさんは「十分にその可能性がある。異性愛者に比べて同性愛者はパートナーの絶対数が少なく、別れは精神的に大きな負担となる」と説明した。
一方、「(被告は)あくまでレズビアンの可能性があるという意味で、正確な判断には再度、鑑定する必要がある」と話した。
ジェシカ被告はサルリトさんの証言を否定。「これまでに同性の人を好きになったことはなく、恋愛対象は今までも、これからも男性です」と発言した。(毛利春香、写真も)