「知っていたのでは」 コーヒー毒殺事件 心理学者が行動分析
中央ジャカルタのモール「グランドインドネシア」のカフェで1月6日、ワヤン・ミルナ・サリヒンさん(当時27)が死亡したコーヒー毒殺事件で、殺人罪で起訴されたジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(27)の第11回公判が15日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。検察側は証人としてインドネシア大学(UI)の心理学者、アントニア・ラティ・アンジャヤニ氏を召喚した。
アントニアさんはミルナさんが毒入りのアイス・ベトナムコーヒーを飲んだ後のジェシカ被告の動きに注目。ミルナさんが気を失った際の被告の様子について「親しい友人を目の前で失うようなことがあれば、(友人の)ハニさんのようにパニックになるなど通常は何か行動を起こす。だが、ジェシカ被告は静かに表情も変えず、黙っているだけで、悲しむ様子もなかった。こうなることを知っていたのではないか」と証言した。
またミルナさんがコーヒーを飲み「まずい」などと言い匂いをかいだ後、ジェシカ被告がカフェのスタッフに水を注文しようと立ち上がる様子についても「普通なら急いで水を注文しに行くが、そのような様子はなかった」と話した。
アントニアさんは、ミルナさんとハニさんがカフェ「オリビエ」を訪れるまでに注文を済ませたジェシカ被告が、支払いのためにレジへ向かう途中に何度も店内を見回す様子や、注文したドリンクが運ばれてきた後に被告の左右の席が空いているにもかかわらず、机の上に三つの紙袋を置いた点なども指摘。「被告は机の上で紙袋を何度も動かしその後に座席に戻す。また左右をうかがったりする。これらはカフェで友人を待つ人が取る通常の行動ではない」と説明した。
アントニアさんはジェシカ被告について「頭がよく、冷静な人物」と語った。公判前、被告は友人が死亡したという緊迫した状況の中でも、アントニアさん心理学者らからの質問に対し、きちんと一貫して受け答えしたという。一方で、「ジェシカ被告に過去や人間関係について尋ねた時は被告の感情が入り混じって、被告との間に心理的な壁を感じた」と話した。(毛利春香)