【少女コンプレックス インドネシアで追う夢】(中)新曲の歌と踊りを猛練習 意味がわかって「キャーッ」
 強い日差しが照りつける南ジャカルタのダンススタジオ。メンバーはこの日のレッスンをいつもよりも楽しみにしていた。初のオリジナル曲のレッスンだから。どんな曲を歌い、どんなダンスを踊るのか。期待と不安を胸に挑むレッスン現場を訪ねた。   
 午前9時半、黒のTシャツ姿のメンバーが次々とスタジオ入りした。元気なあいさつが響き渡った同10時、歌のレッスンが始まった。歌詞が印刷された紙が配られ、ガイドボーカルの入ったデモテープが流れた。少女コンプレックスの曲は日本で作詞・作曲される。歌詞はインドネシア語に翻訳され、1曲二つの歌詞が付く。訳すのは同じよしもとクレアティブ・インドネシア所属の歌手、加藤ひろあきさん(33)。
 歌の指導は主に大阪でシンガーソングライターとして活動中のiri(イリ)さん(40)。ローマ字で書かれた日本語歌詞の意味を丁寧に説明し、おだやかな表情と話し方で、少しずつ反復しながら歌い進めていく。随所でメンバーたちはメモをとり、歌詞の意味がキスとわかってメンバー全員が「キャーッ」と叫ぶ場面もあった。iriさんは「(もともと高い)歌唱力もさることながら集中力がすごい。きょう聞いたばかりの曲を覚え、日本語の発音もすぐに覚えた」と感心する。日本語の会話時と歌唱時の発音の違いにとまどいながらも、たった2、3時間で一通り歌えるようになった。
 午後2時、ダンスレッスンが始まった。指導するのは大阪のNMB48立ち上げ時から携わっている振付け師のAKIRAさん(33)。現在250人以上のアイドルを指導する。
 約1時間のウオーミングアップ後、レッスン本番。まず基本の動きを全員で。「これができないと踊れないよ!」と声が飛ぶ。AKIRAさんは少し動きがおかしなメンバーに「ゴリラみたいだよ」と物まねし、笑いを誘いながら厳しく指導した。
 常にワイワイ騒ぐメンバーを見て「休憩中もテンションが高いとダンスレベルは上がりやすい。だから彼女たちはレッスンのたびに3段階くらいレベルを上げてくる」と話す。 
 数々のアイドルを見てきたAKIRAさんは「アイドルはファンたちにちやほやされ、必ず調子に乗るときが来る。その時に練習をサボるような子で生き延びた子はいない」と話してくれた。売れた先にある厳しい世界を今から見据えていた。(市田博嗣、写真も)(つづく)  
 ▽フィオラ 事務所に差し入れを持ってきたりレッスン後は全員とハグをしたりお母さん的存在。メンバーからの信頼が厚く相談にのることが多い。
 「インドネシアの言葉は500以上。素敵な方言を伝えたいです」
1995年8月2日生まれ    
 ▽リマ 一番素直な性格で料理上手と評判だ。仕事の日に持ってくるのは自分で作ったお弁当。家庭的な一面が、メンバーをほっとさせている。
 「辛いものが大好きなので、サンバルソースの作り方を教えたいです」
1996年12月20日生まれ
 ▽フローレンティナ 誰よりもきれい好きで、掃除の達人だ。楽屋、事務所、レッスン後のスタジオを率先して掃除するなどの奥ゆかしさを持っている。
 「インドネシア各地の地方独特の顔、文化、心を紹介していきたい」
1997年7月4日生まれ
 ▽サラー HIP HOPダンスが得意で、コピーダンスやオリジナルの振り付けダンスの動画が人気。レッスン中も切れのある動きが目立っている。
 「インドネシア人はあいさつが多く優しい。あいさつでなごみませんか」
1996年8月13日生まれ


 

 
 
 
 

 






















 紙面・電子版購読お申込み
紙面・電子版購読お申込み 紙面への広告掲載について
紙面への広告掲載について 電子版への広告掲載について
電子版への広告掲載について