不自然な被告の動き コーヒー毒殺事件 映し出す監視カメラ
中央ジャカルタのカフェ「オリビエ」で1月6日、ワヤン・ミルナ・サリヒンさん(当時27)が死亡したコーヒー毒殺事件で、殺人罪で起訴されたジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(27)の第10回公判が10日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。検察側は国家警察本部法医学研究所デジタル科学捜査チームのムハマド・ヌ・アル・アズハル署長を証人として召喚。CCTV(監視カメラ)映像の分析結果を用いながら、ジェシカ被告について証言した。
「オリビエ」の監視カメラ映像では、レジで支払いを済ませ席に戻ったジェシカ被告が、午後4時28分にすべての飲み物がそろうとソファの左端から中央に移動し、紙袋をテーブルの上に置いた。被告は左に置いてあったかばんから右手で何かを取り出した後、何度かコーヒーの位置や紙袋の位置を変更。再びかばんを開き、また右手で何かを取り出した。テーブルの上で何が行われていたのかは紙袋が影となり、監視カメラには映っていなかった。
その後、ジェシカ被告は左右を何度も見たり、何度もソファの上で席を移動したりしていたが、午後4時33分にすべての紙袋をテーブルから下ろすと、ミルクとコーヒーが混ざっていないアイス・ベトナムコーヒーが監視カメラに映し出された。
ムハマド氏は「被告は監視カメラから最も遠く、映りにくい席を選んだ」と説明。ジェシカ被告は午後4時14分に到着し、午後3時半ごろに予約しておいた54番のテーブルに座り、アイス・ベトナムコーヒーと2種類のカクテルを注文。その後、支払いを済ませるためレジへ向かう途中では、店内を何度も見渡す様子が監視カメラに映し出されていた。
ミルナさんと友人のハニさんが午後5時17分に到着すると被告はハグを交わし、2人をソファに座るよう促す。ミルナさんが毒入りのコーヒーを飲んだのは、被告のもとにコーヒーが運ばれてから約1時間後だった。
ムハマド氏は3日に開かれた前回の公判で証人となった警察病院のスラメット・プルノモ医師が、ミルナさんが飲んだコーヒーに入っていたシアン化ナトリウムは人の肌に触れるとかゆみを感じることがあると説明したことを再度説明。ミルナさんが気を失い運ばれるまでの間に、ジェシカ被告が右足の太ももをひっかいたり、右手を左手でしきりに触ったりしている拡大映像を公開した。
オットー・ハシブアン弁護士とジェシカ被告はムハマド氏の証言に対し、異議を申し立てた。裁判長から発言を許された被告は「専門家の方の解説や結果には納得できません。後に説明します」と語った。(毛利春香、写真も)