ゆとり教育構想 教育文化相 フィンランド式提言

 ムハジル・エフェンディ教育文化相は8日、小中学校の平日の授業時間を延長して土日休みの週休2日制にし、ゆとりある教育を目指す「フル・デー・スクール(FDS)」構想を、ユスフ・カラ副大統領に提言した。カラ副大統領は賛意を示したが、教育関係者からは構想を疑問視する声もある。

 FDSは、北欧フィンランドの教育制度を参考にしている。フィンランドの学校は学費が全て無料で、義務教育の7〜16歳の基礎教育期間には成績表も学力テストもない。しかし、経済協力開発機構(OECD)が実施する国際的な学習到達度テストでは、常に高い成績を残している。
 暗記を中心とする詰め込み教育とは全く異なったカリキュラムで、自分で考え勉強していく力を養うことを目的にしており、日本をはじめ世界からも注目を集めている。ムハジル教育文化相は「人格形成に必要な教育を与えており、素晴らしい人材がそろっている」と評価する。
 同相によると、FDSでは両親の仕事が終わる時間まで子どもを預かり、道徳教育を中心とした人格形成の授業を行う。下校時は、可能な限り両親と一緒に帰宅するようにする。基礎学力の科目を現状の7割から6割に減らし、人格形成に特化した教育を3割から4割に増やす。
 インドネシアでは学校ごとに差はあるものの、午前7時ごろから授業が始まり、午後1〜2時が下校時間となる。土曜に授業を行う学校もあるが、土日を休みに変更する。午前と午後に分かれて二つの学校が一つの校舎を使っているケースもあるので、施設や設備、教員の確保が課題となる。
 ジャカルタ特別州のアホック知事は9日、「FDSは採用されるべき新しい計画だ」と語り、制度化された場合はジャカルタ特別州に取り入れる姿勢を表明した。両親の不安も減り、勤務時間を延長することで家計にもメリットがあると主張する。
 国会第10委員会(教育)のアブドゥル・フィクリ・ファキー副委員長は、FDSは社会に好影響を与えるとしながらも、「施設が不十分で、想像力あふれる授業を行う教員が育たなければ、児童・生徒と教員双方にとって学校が退屈な場所になってしまう」と指摘した。
 ムハジル教育文化相は9日、構想の実現が難しいのであれば、一端撤回して代替案を探すと語り、教育改革の実現に向けては慎重な姿勢を示している。同相は今後、資金面での調整や経済的な影響について協議していく方針。構想実現に向けた最終決定は、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が下すと話した。(中島昭浩)

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