胃からシアン化合物 コーヒー毒殺事件 「犯人は賢い」と証言

 中央ジャカルタのモール「グランドインドネシア」のカフェで1月6日、ワヤン・ミルナ・サリヒンさん(当時27)が死亡したコーヒー毒殺事件で、殺人罪で起訴されたジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(27)の第9回公判が3日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。司法解剖や毒物の検査を実施した専門家が証人として召喚された。
 司法解剖した警察病院の法医学専門家、スラメット・プルノモ医師は、ミルナさんの胃から0・2ミリグラム分のシアン化ナトリウム(青酸ソーダ)が発見されたと説明した。「ミルナはシアン化ナトリウムが入った飲み物を飲んだことが原因で、死亡した」と証言した。
 スラメット医師のチームは警視庁の指示で遺体全体の解剖ができず、検査できたのは胃と肝臓、胆汁、尿のサンプリングのみで、脳や心臓などを調べることができなかったと証言。一方、ミルナさんの胃や口内には血でできた黒い塊や傷があり、「炎症や腐食を引き起こす強塩基や強酸などの物質によるもの。これだけで毒殺された可能性が高いことがわかる」と説明した。
 同証言を聞いたオットー・ハシブアン弁護士は、致死量(体重60キロで約171ミリグラム)と比べるとシアン化ナトリウムの量が少なく、証拠にならないと異議を唱えた。しかし、スラメット医師は、司法解剖は事件発生後の9日夜〜10日に実施され、体内に残るシアン化合物も減少していたと説明。「(ミルナさんが)毒入りのコーヒーを飲んで数分で意識を失っていたことから、相当な量を飲んだと思われる。胃に直接届いた大量のシアン化ナトリウムが血液に吸収され、酸素を運ぶ機能を奪い、心臓や脳が活動しなくなった」と話した。
■水に溶け熱に弱い
 2人目の証人は国家警察犯罪捜査局所属で、毒物の法医学専門家のヌル・サムラン・スバンディ氏で、毒入りのコーヒーを調べた。ヌル氏は「犯人は賢い。シアン化合物が熱に弱いことを知っていたはずだ」と証言した。
 シアン化合物は水に溶けやすい一方、熱で分解されると毒性が薄まることを知ったうえで、温かい飲み物を避け、アイス・ベトナムコーヒーを注文した可能性を指摘した。事件のあったカフェ「オリビエ」では、アイス・ベトナムコーヒーを注文すると、店員が客のテーブルでひいたコーヒー粉末にお湯を注ぎ、氷とミルクの入ったグラスにコーヒーが落ちるしくみのため、コーヒーが完成し冷えた状態になってから毒を入れたのではないかと話した。
 シアン化ナトリウムの量については、ミルナさんはストローでコーヒーを飲んだことから約20ミリリットルを飲んだと想定し、20ミリリットルあたり297・6ミリグラムのシアン化ナトリウムが含まれていた。ヌル氏は「同カフェのアイス・ベトナムコーヒーの量は1杯300〜350ミリリットルで、約5グラムのシアン化ナトリウムが混入されていた」と説明した。
 次回公判は10日。(毛利春香、写真も)

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