太陽に向かって祈る 午後4時27分 聖地を確認
15日午後4時27分、イスラムの聖地、サウジアラビアのメッカにあるカアバ神殿の真上を太陽が通過した。この瞬間、太陽に向かって礼拝すれば、まさに正しい方向に向いていることになり、宗教省は各地のモスクに対して、メッカの方角を示すキブラットが正しく設置されているか確認するよう呼びかけた。
宗教省イスラム・シャリア(イスラム法)局のムハンマド・タムブリン局長は13日、この日の太陽の位置の意味を伝えながら「カアバ神殿に向かって正確に祈りをささげるため、キブラットを確認しよう」との声明を出していた。
タムブリン局長は礼拝の方向を確認するには、コンパスや経緯儀を使った方法など複数あると説明し、気象庁(BMKG)か国営ラジオ放送局(RRI)、国営通信テルコムで正確な時間を把握することを忘れないよう注意した。
ただ、太陽を利用するのはもっとも簡単で、真っすぐな棒を手で持ってぶら下げる。太陽がカアバ神殿の真上を通過する時刻に、棒でできた影の反対側が正確な方角になる。キブラットが示す方向と違っていれば、観測結果から位置を修正できる。
■きょうの太陽は特別
中央ジャカルタのイスティクラル・モスクには、白地に赤で「キブラット」と書かれた案内板が天井から至る所につり下げられている。同モスクのアブ・フーライロ・アブドゥル・サラム観光サービス部長は「方角は建設時にイマム(イスラム指導者)の手によって正しく決められているので、ここでの変更はなく、これまでに変えたこともない」と説明した。規模の小さいモスクでは、変更するところがあるかもしれないと話した。
西ジャワ州ボゴールのプサントレン(イスラム寄宿学校)から訪れていたエアン・グンプルトラハラさん(18)は「以前からきょうの太陽のことは知っていた。正しい方向に向かって祈ることができてうれしい」と話した。エアンさんは午後4時27分、友人4人と一緒に祈りをささげていた。友人の1人は「きょうの太陽は特別きれいだった」と感激していた。
メッカの緯度は北回帰線の南の北緯21度25分にあり、夏至を挟んで年に2回、南中時に太陽が真上に来る。気象庁西スマトラ州パダン支部は5月27日、太陽がカアバ神殿の真上を通過した際、住民にキブラットが正しいかどうかの確認ができると紹介していた。住民からは今さらなぜ確認するのかという非難や、少しずれていたから直せて良かったという賛否両論の声が上がったため、地元メディアで話題になっていた。(中島昭浩、写真も)