弁護側の異議却下 コーヒー毒殺事件 次回本格審理へ

 中央ジャカルタのモール「グランドインドネシア」のカフェで1月、ワヤン・ミルナ・サリヒンさん(当時27)が死亡したコーヒー毒殺事件で、殺人罪で起訴されたジェシカ・クマラ・ウォンソ被告(27)の第3回公判が28日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。クスウォロ裁判長は、起訴状を取り下げるよう求めていた弁護側の異議申し立てを却下した。

 公判は午前11時に始まり、クスウォロ裁判長はジェシカ被告に体調などを尋ねた後、これまでの双方の主張を説明した。その後、「弁護側の申し立てを却下する」と述べ、ジェシカ被告を計画殺人の罪で問う審理を次回公判から開始することを明らかにした。
 今後は証拠提出や証人審問などが行われ、検察側と弁護側が全面対決することになる。次回はレバラン(断食月明け大祭)休暇明けの7月12日に開かれる。
 これまで弁護側は検察側の起訴内容に対し、計画殺人として罪を問うには証拠が不十分だと抗弁していた。コーヒーに毒を入れているジェシカ被告の姿の目撃証言や監視カメラの映像がないことや、毒殺に使用されたとされるシアン化合物をどのように、どこから手に入れたかなど不明瞭な点を指摘。また死亡したミルナさんの遺体からどれだけの量のシアン化合物が検出されたのかも明らかにされていないと説明していた。
 さらに被告が当時の彼氏と別れるようミルナさんが催促していたことを理由に殺害を計画し、オーストラリアからジャカルタへ帰国したことや、コーヒーを飲んだミルナさんが倒れた際に、被告が冷静で落ち着いた様子を見せていたことは殺害の理由にはならないとした。また事件当日にグランドインドネシアまでミルナさんを車で送った夫のアリフさんや、事件発生時に同じテーブルに座っていた2人の友人であるハニさん、カフェの店員など、他にも毒殺が可能な人物がいるにもかかわらず、ジェシカ被告だけが疑われるのはおかしいと主張している。
 弁護団の1人であるユディ・ウィボウォ・スキント氏は公判では裁判長の判断を受け入れるとした上で、「検察側はジェシカがミルナ・サリヒンを殺害したと裏付ける確固たる証拠を探し、証明しなければならない」と話した。
 ミルナさんの家族は前回と同様、傍聴席から公判を見守った。ミルナさんの父エディ・ダルマワン・サリヒンさんが、裁判長の弁護側の申し立て却下の判断を聞いた瞬間、思わず拍手する場面もあった。
 地裁では約70人の警察官が警備にあたり、ほぼ満席の傍聴席の周辺にも約10人が配備された。(毛利春香、写真も)

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