両国の絆、より強く ジャカルタ日本祭り開幕 草の根イベント 4年目 交流行事 1週間各所で
第4回ジャカルタ日本祭り(JJM)は23日、オープニング・イベントや親善スポーツ大会などで幕を開けた。国交樹立50周年を迎えた2008年に両国でさまざまなイベントが開かれたことを機に、草の根での友好イベントを毎年開こうと、2009年に初開催。4年目の今年は、昨年の東日本大震災後、インドネシアで支援活動が広がったことを受けて再確認した友情を次の世代へつなげていこうと「深まる絆、広がる交流、インドネシア・日本」をテーマに設定した。今年も1週間、市内各所で文化交流行事を開き、30日(日)に独立記念塔(モナス)広場のクロージング・イベントでフィナーレを迎える。(関口潤)
中央ジャカルタのサリ・パンパシフィック・ホテルで開かれたオープニング・イベントは、インドネシア人の若者で構成する「大江戸助六流ジャカルタ太鼓クラブ」が勇ましい太鼓演奏を、ジャカルタ特別州が招いた「サンガル・エカヤナ」がジャカルタ土着の民族ブタウィの伝統舞踊を披露。ファウジ・ボウォ・ジャカルタ特別州知事、鹿取克章・駐インドネシア日本大使、小林一則JJM実行委員会委員長があいさつの後、太鼓を打ち鳴らして開幕を宣言した。
小林委員長は午前中のスポーツ大会について「両国の若者が共に汗をキラキラと輝かせていたことがうれしかった」と振り返り、「これからもインドネシアと日本、一緒に歩み、発展していきましょう」とあいさつした。「皆様、こんにちは」と日本語であいさつを始めたファウジ知事は、「ジャカルタ日本祭りが単に両国の友好のシンボルとしてだけでなく、両国関係をより強固にするための機会としたい」と強調。「私もクロージング・イベントではモナスで御輿を担ぐ。市民の皆さんもぜひ日本文化を一緒に堪能しましょう」と呼び掛けた。
鹿取大使は「この祭りは(友好関係を促進する上で)とても勇気付けられるもの」と述べ、「昨年の震災後に見せてもらった日本とインドネシアの友情関係を基礎に、あらゆる分野で協力を強化していきたい」と意欲を示した。
■「感謝を伝えたい」
オープニングでは、音楽や食を使ったプログラムが次々とステージ上で行われた。
今年のテーマに合わせて行われたのは、インドネシアと東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市の交流の紹介。震災を乗り越えて開いた「インドネシア・パレード」の支援活動にジャカルタで参加し、気仙沼のパレード本番にも駆け付けた松井和久さんと、パレードで使用する各地の伝統衣装を集めたライオンズクラブのスリ・バノワティさんが壇上に上がった。
震災前から10年間、パレードを続けてきた気仙沼の鈴木敦雄さんがテレビ電話を通じて「インドネシアの皆さんの協力のおかげで、今こうやって生活を送ることができている。その感謝の気持ちを何よりも伝えたかった」というメッセージを会場に送り、松井さんは「小さな町のささやかな交流だが、いろいろな形で続き、広がり、深まっていってほしい」と語った。
幅広く日本文化を紹介するために結成された21世紀伝統和楽団に所属する中村仁美さんの演奏では、津軽三味線の音色に拍手が起こった。「震災後はインドネシアからたくさんの支援をもらった。その感謝の気持ちを込めて演奏した」という中村さん。25日には中央ジャカルタのプラザ・スナヤンで、「ジャパン・ウィーク」のイベントとして演奏する。
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)バリダンス部の公演では、ジャカルタ日本人学校(JJS)の中学生らが鳥の舞いを表現し、インドネシア人ラップバンドのソウルフェラは軽快な音楽を披露。アイドルグループJKT48の公演には、多くのファンが会場に押し掛け、会場は熱気に包まれた。
最後は「NHK東日本大震災プロジェクト」のテーマソングとなっている「花は咲く」を実行委員会委員やJKT、観客らが合唱した。