【アルンアルン】陸の越境貿易と海上貿易 

 2004年からカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、タイなど「メコン」の国々の研究している。今でこそ成長著しい地域として関心を集めているものの、タイを除く「CLMV」(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの4カ国)と呼ばれる残る国々は、当時「開発」から程遠いのどかな国々であった。それまで筆者がフィールドとしていたジャカルタ近郊のブカシ〜チカンペック高速道路を走る40フィート・コンテナ車両が奏でる「躍動感」とは大よそ程遠かった。
 現在でも1人当り国内総生産(GDP)が3千ドル台のインドネシアと比べ、CLMVの優等生ベトナムがようやく2千ドル台である。しかし、14年までの10年間の平均成長率は、インドネシアの3.5%と比べ、CLMVの順で7.5%、7.8%、16.2%、6.2%と、ミャンマーの数字には首を傾げたくなるものがあるが、いずれもその成長率はインドネシアより高い。
 貧困指標である収入が1日2ドル未満の人口は、インドネシアが11年で43%なのに対し、カンボジアは41%、ベトナムは12年で13%にまで下がっている。
 これらの数字の背景には、地理的条件の違いがあるように思う。国の外周を陸上国境と海岸線に分け、陸上国境が占める割合をみると、インドネシアは4.9%であるのに対し、ラオスは陸封国、残るCMVは85.3%、75.3%、57.4%である。
 CLMV諸国の海岸線の割合は半分未満で、海上貿易を通じた経済発展が容易ではなく、内陸部に経済発展の恩恵が及び難い地理的条件にある。しかしながら、東西経済回廊や南部経済回廊など国をまたいだ越境輸送インフラの開発により、現在では陸上国境を通じた貿易が活発化している。
 CLMV諸国のこの10年の高い成長率は、越境輸送インフラの開発により部材の輸入と製品の輸出の可能性に門戸が開かれ、外国投資が拡大したことが大きい。
 大小1万3千余りの島々から成るとされるインドネシアはどうであろうか。離島を貨物船で結べば、経済発展はもっと容易なように思える。ところが、コンテナ当り輸送費は、貨物船の規模が大きければ大きいほど低い。逆に考えれば、離島を結ぶ貨物の需要がさほど大きくない以上、コンテナ当りの輸送費は高くなる。現状では積替えコスト削減のため、トラックがそのまま乗船するRO―RO(ロールオン・ロールオフ)船の活用が有効であるが、高い輸送費は経済発展の足かせとなる。
 こうして考えると、内陸国より島しょ国の方が、貧困削減は難しいのかもしれない。(石田正美・JETROアジア経済研究所開発研究センター長)

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