「パンチャシラの日」制定 6月1日 国家5原則 未来への希望

  ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は1日、西ジャワ州バンドンのムルデカ会館で演説し、6月1日を国家5原則パンチャシラを記念する「パンチャシラの日」として国民の祝日と定めると発表した。世界最多のムスリム人口を抱えながらもイスラム国家とせず、多宗教多民族共生の原則として据えたパンチャシラを基に「未来への希望を持とう」と呼びかけた。
 ジョコウィ大統領は記念式典で「パンチャシラという国家原則のもと、われわれは未来に対して希望を持つべきだ。国際競争に勝つという自信を持つべきだ」と訴えた。また「建国の父」スカルノ初代大統領の1945年6月1日の演説を引用し、国際社会の勝者となるための条件として勤勉とゴトンロヨン(相互扶助)を呼びかけた。
 式典ではスカルノ氏の長女であるメガワティ元大統領も演説した。日本軍政の厳重な監視下で開かれた独立準備調査会で、スカルノ氏が「パンチャシラの誕生」の演説をしてから71年が経過したと振り返り、「ブンカルノ(スカルノ氏の通称)は演説でパンチャシラを発見したのではなく、掘り起こしたのだと述べた」と指摘した。
 また「パンチャシラがあったからこそ、アジア・アフリカ会議を構想するに至った」と説明。1955年、スカルノ氏らがアジア・アフリカ諸国の連帯を呼びかけ、反植民地主義の原点となったアジア・アフリカ会議の会場であるムルデカ会館を見渡した。
 ジョコウィ大統領はこの日「パンチャシラの誕生を祝し、6月1日を祝日に制定する」と発表、祝日制定に関する大統領令(2016年第24号)に署名した。制定の理由については「パンチャシラは国のイデオロギーで、国の最高の位置づけにある(国是だ)」と説明した。
 ジョコウィ大統領は式典後、メガワティ氏やズルキフリ・ハサン国民協議会(MPR)議長、アフマッド・ヘルヤワン西ジャワ州知事、リドワン・カミル・バンドン市長らと共に、ムルデカ会館からバンチュイ刑務所までの約500メートルを歩いた。通りは一行を出迎える人などであふれかえった。
 同刑務所はオランダ統治時代の1929年、民族運動を展開していたスカルノ氏が8カ月間投獄された場所。ジョコウィ大統領らはスカルノ氏が収監されていた当時の独房を見学するなどした。(木村綾)
 パンチャシラ インドネシアの国是をなす5原則。日本軍政末期の1945年6月1日、独立準備調査会で行ったスカルノ初代大統領の演説「パンチャシラの誕生」で提議された国家の原則がもとになり、1945年憲法前文に記載されている。サンスクリット語で「パンチャ」は「5」、「シラ」は「徳の実践」を意味する。国章「ガルーダ・パンチャシラ」は、神鳥ガルーダの胸部にパンチャシラの5原則を表す盾が掲げられている。
1)唯一神への信仰 
2)公正で文化的な人道主義 
3)インドネシアの統一
4)協議と代議制において英知に導かれる民主主義 
5)インドネシア全人民に対する社会正義

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