「必ず日本へ到達する」 マジャパヒト号きょう出航

 日イの友好親善の証として日本まで旅をする帆船「スピリット・オブ・マジャパヒト号」が11日、北ジャカルタのアンチョール・マリーナ埠頭から日本へ向けて出航する。2カ月に及ぶ大航海の前日、乗組員に意気込みを聞いた。

 船長は南スラウェシ州ブルクンバ県出身のエム・アミンさん(70)。指南役として同乗する海洋冒険家の山本良行さん(67)と5年前、同州マカッサルからパプア州ジャヤプラ県まで共に旅をした仲間だ。これまで40年以上、大型船から小型船まで、さまざまな船で船員として働いてきた。今回の航海の目的にも強く賛同しており、「海には慣れている。全員が一体となってやれば、必ず日本へ到達できる。乗組員は家族のようなものだよ」と話した。
 マカッサル出身で、最も若い船員となるムハマド・アファン・ナフィフさん(17)は、高校を卒業したばかり。アニメがきっかけで日本が好きになり、航海が終わった後は日本へ留学するのが夢だという。ムハマドさんは帆船でスラウェシ島を1周した経験がある。大きな波や風を心配する一方、「帆を揚げたり、海図を見たり、とにかく何でもいろいろなことを経験したい。今、とてもどきどきしている」と目を輝かせた。
 ナジブ・ハサヌル・アリフィンさん(24)は、ジョクジャカルタ国立大学(UNY)の4回生。自然が好きで特に海や海に関する文化が好きなことと、海洋国に住む若者として航海してみたいという思いで参加した。「とにかく海が大好き。最初は怖かったけど海について学ぶうちに大丈夫になった。冒険は初めてだけれど、航海が終わった後もまた行きたいと感じると思う」と笑顔を見せた。
 エム船長と同じブルクンバ県出身のアンディラ・ハミンさん(47)は、エンジン担当の機関士。アンディラさんは欠員が出たと聞き、増員のために声をかけられたことがきっかけで参加した。「海外に行くのは初めてだから、航海中に立ち寄った場所でさまざまなものを見たい。土産話を妻や小学3年生の娘にするのも楽しみ」と話した。
 スミトロさん(46)はアンディラさんの親類で同じ地元から参加。これまで大型船の船員として働いてきた。「怖さはない。それに長期にわたる航海では、何より精神的に強くないといけない。船の調子が良く、天候にも恵まれ無事に航海できることを祈っている」と話した。
 シャハリルさん(48)はエム船長と同じブルクンバ県出身。石炭や砂を運ぶ貨物船で乗組員として働き、カリマンタン島とスラバヤ、バンカブリトゥン州ブリトゥン島とジャカルタ特別州など各地を何度も航海してきた。マジャパヒト号を見た時は修理中で、「こんな小さな船で大丈夫か」と最初は驚いたという。
 フィリピンの過激派組織アブサヤフによるインドネシア人誘拐事件などもあったことから「不安なことをあげるなら、海賊に遭わないかどうかだ。でも海賊の出る地域ははずして航海するから大丈夫だ」と話した。
 インドネシア人の乗組員は9人。全員が国外へ出るのは初めてだが、「怖くない」と口をそろえ、11日の出航を待ち望んでいた。(毛利春香、写真も)

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