電子KTP2900万人未取得 17歳以上の15%年内発給目指す 公共サービス効率化へ

 電子住民登録証(e―KTP)発給が難航している。政府は指紋や目の網膜など記録された個人データを公共サービスの効率化に利用したい考えだが、17歳以上の取得義務者1億8200万人のうち15%にあたる約2900万人が未取得。年内の発給完了を目指し、あらためて周知活動を図る方針だ。
 インドネシア全人口の約2億5千万人のうち、KTPの配布対象となる17歳以上は1億8200万人。内務省の調べによると、先月時点で17歳以上のKTP所持者は1億5800万人。このうち1億5300万人がすでに電子KTPに移行し、残りの500万人が申請を終え発給を待っている。17歳以上で従来のKTPも取得していない2400万人を含めると、全体の15・9%にあたる2893万8千人が未取得という。
 ジャカルタ特別州では、取得義務者712万4千人のうち43万人が未取得で、27万4千人は登録手続きは終えたが、カード不足などで未発行。自治体は村落単位で一斉に申請するなどしてきたが、コンパス紙の調査によると、「手続きが煩雑」との印象を持っている住民は23・5%に上る。申請時の問題として14・2%は「写真撮影の順番待ち」、9・9%が「個人データ読み取り機の故障」を挙げている。
■受診履歴も連動
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領はこのほど、国民背番号(NIK)を記載した電子KTPを早急に全国民に給付するよう指示。「公共サービスをより安く、早く、正確なものに改善したい」と強調した。
 チャフヨ・クモロ内相によると、電子KTPを土地権利書や出生証明書、結婚証明書、運転免許証(SIM)、車両登録証(STNK)、車両所有権証書(BPKB)に対応させることで、個人情報の確認や公共機関での申請手続きなどがより円滑にできるようになる。
 移転者の管理や脱税、パスポートなど身分証明書の偽装、汚職の防止につながるほか、一部の地方自治体で導入している健康管理プログラム「イーヘルス(e―Health)」を全国で連動させる。同プログラムでは患者登録や受診履歴などを各地で参照できるようになるという。
 インドネシアではKTPが配布される17歳以上から選挙権があり、車やオートバイの免許取得も可能になる。チャフヨ内相は、全国で有効になる電子KTPの利点として「例えばジャカルタで取得した運転免許証などが期限切れになった場合、パプア州にいても直接更新できるようになる」と説明した。
 また、17歳未満の未婚の男女に発行を義務づける未成年の「子どもKTP=KIA」の支給も3月から一部地域で開始した。0〜5歳児と、5歳以上の二つに分け、新生児には出生証明書と合わせて発行する。
 それ以外の子どもは、出生証明書と保護者のKTP、家族カード(KK)、子どもの顔写真などをそろえ申請する。子どもが17歳以上になった際には、KIAをそのまま電子KTPに移行できるようにするという。
 電子住民登録証(e―KTP) 17歳以上の全国民に常時携帯が義務づけられている身分証。従来の紙製の住民登録証(KTP)を刷新し、顔写真や指紋、目の網膜などの身体データを記録。氏名や出生地、生年月日、性別、血液型、住所、宗教、既婚・未婚、職業、国民背番号(NIK)を明記している。2011年に発給を開始したが、データ読み取り機の調達や登録手続きが大幅に遅れ、当初予定していた14年総選挙の有権者登録には利用できなかった。正式に有効となったのは15年1月から。(毛利春香)

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