「同名の人違い」 死刑囚の再審開始 西ジャカルタ地裁

 覚せい剤を輸入したとして2007年11月27日に麻薬取締法違反で逮捕され、08年4月5日に死刑判決が下ったクリスティアン死刑囚(55)が「真犯人は同名の別人だ」として、弁護団と同死刑囚が申し立てた再審の初公判が20日、西ジャカルタ地裁で行われた。死刑判決から約8年。弁護団は、同死刑囚が逮捕前に受けた暴行の痕を娘が撮影した写真などを提出、無罪を訴えている。
           
 再審請求は3月28日に同地裁に申し立て、その日のうちに受理された。死刑制度の廃止を求めるアザス・ティゴール・ナインゴラ弁護士ら11人が弁護団を結成。人権保護活動を行っている非政府組織(NGO)ファクタに所属する日本人女性も情報提供に協力している。
 弁護団によると、死刑判決を受けるべきなのはクリスティアン・サリム(通称アウェ)元受刑者(当時48歳)。07年11月20日、47万錠の合成麻薬の密造拠点となっていた西ジャカルタ区グロゴルのタマン・アングレック・アパートで、警視庁が麻薬シンジケートを摘発し、アウェ容疑者を逮捕した。
 その1週間後、当時縫製業を営んでいたクリスティアン死刑囚は警察官に連行され、同アパートに自分が所有する部屋に行くと、中から覚せい剤が見つかった。クリスティアン死刑囚は「自分のものではない」と否定したが、暴行を受け、逮捕された、という。
 アウェ容疑者はその後、起訴され、禁錮10カ月の判決を受けたが、半年後にタンゲラン刑務所から出所し、現在、行方不明という。
 弁護団によると、アウェ元受刑者と同時期に逮捕され、14年に最高裁で死刑が確定したマレーシア人、リム・ジット・ウィー死刑囚(当時41歳)は法廷で、クリスティアン死刑囚についてアウェ元受刑者だと偽証している。
 初公判は、西ジャカルタ地裁第9法廷で予定から5時間遅れて午後3時に始まった。
 傍聴席は約20人の傍聴者で満員で、弁護側が同死刑囚逮捕に至るまでの経緯を読み上げて終了した。次回公判は未定。(中島昭浩、写真も)
 

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