「消費が消費を生む」 「技術移転本格化を」 富吉所長が講演 ジェトロ・SMEJセミナー

 日本貿易振興機構(ジェトロ)ジャカルタ事務所は十九日、中小企業(SMEJ)連合会、在インドネシア日本大使館との共催で、中央ジャカルタの日本大使館で「ジェトロ・SMEJセミナー」を開催、ジェトロ・ジャカルタ事務所の富吉賢一所長が進出日系企業の活動状況について講演した。
 新年第一回目のセミナーで壇上に立ったSMEJの白石康信会長は「円高と震災で大変苦しい一年だった」と昨年を振り返った上で、「世界一の規律と技術を持った日本は必ず復興する」と強調。今年のSMEJの方針としては、日系各機関や覚書を締結したインドネシア経営者協会(アピンド)などとの協力を深めていくことなどを確認した。
 講演後の懇親会を前にあいさつした鹿取克章・駐インドネシア日本大使は「今、インドネシア経済は非常にダイナミックに動いており、日本とインドネシアの関係はますます緊密になっている」と述べ、「皆さんとともに日イ関係の一層の強化、双方の発展に取り組んでいきたい」と呼び掛けた。
 講演では、ジェトロが二〇一一年八―九月に行ったアジア・オセアニアの計二十カ国・地域に進出する日系企業に関するアンケート調査「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査」を基に、富吉所長がアジア地域全体の動きと比較しながらインドネシア経済や日系企業の活動の特徴を解説した。
 地域全体では景況感が前年に比べてV字回復しているが、インドネシアは「伸び続けている」と説明。また各国で「人件費と調達コスト上昇への対応」が最大の経営課題となっているが、インドネシアでは税務(法人税、移転価格課税など)の負担がほかの国に比べて比重が大きいとの特徴があると指摘した。
 工業団地のデモの背景となっている賃上げ問題に関しては、一人当たりの国内総生産(GDP)が三分の二ほどのフィリピンと同水準であることを引き合いに「経済規模の割に賃金水準が低く、賃金上昇圧力が潜在的には高い国と言える」と説明した。
 国内消費が好調な経済をけん引している例として、輸出比率五〇%未満の企業の黒字比率が高いことなどを列挙。「消費が消費を生む正のスパイラルに突入している」と強調した。
 一方、現地調達率は地域全体で中位に位置するが、日本からの調達率が高く、現地調達の内訳をみても現地の日系進出企業からの調達が多いと指摘。
 「インドネシアが今後、生産拠点となるのは確実で、技術を持ってこなければ長期的には成り立たない。震災後は技術移転が国内産業の空洞化とセットとして論じられたが、サプライチェーンが正常化した今、技術移転を含めてどう配分するか、国や各企業は考えなければならない」と訴えた。

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