租税回避899件発覚 パナマ文書財務相方針 海外資産環流を目指す

 中米パナマから流出したタックスヘイブン(租税回避地)に関する内部文書「パナマ文書」に実業家や政治家らインドネシアの899の個人・法人が記載されていることが発覚した。バンバン・ブロジョヌゴロ財務相は同文書を参照し、国会審議中の租税特赦(タックス・アムネスティ)法案に反映させるとの方針を表明。脱税目的などで海外に持ち出された資産を環流させることで税収増に結び付けたい考えだ。
 バンバン財務相はパナマ文書の全容をすでに把握していると強調し、税務総局が各国の捜査機関から入手した納税者の海外資産に関する情報と照合していくとの方針を示した。 
 同相はことし2月、中国・上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、資金洗浄(マネーロンダリング)対策として金融取引データの共有などへの協力を呼びかけており、「パナマ文書より詳細な海外資産データをすでに入手している」という。 また同相は、課税逃れの疑いがある海外資産は1京1400兆ルピアを超えると指摘、今後各国の協力で情報開示や資産環流が可能になっていくと話した。 
 また租税特赦法改正案の制定を控え、ことしの国家予算補正案で税収見込みを1546兆ルピアから70兆〜100兆ルピア上方修正したい考え。同法案では脱税などの目的で海外に資金を移した者に対し、国内に資金を戻せば訴追せずに免税する措置に関する条項を盛り込む。 
 アデ・コマルディン国会議長(ゴルカル党)は「文書暴露と法案審議は無関係。タックス・アムネスティ法案は最優先法案として審議を進めていくことに変わりはない」と強調。免税期間の規定で政府案の1年に対し大多数の会派が2年半を主張するなど協議を続けており、早期可決を目指すとしている。 
 汚職撲滅委員会(KPK)は文書で言及された人物について捜査を開始した。オフショア(非居住者向け)市場の金融取引はインドネシアだけでなく海外でも追及が難しく、自国への資産環流は依然困難だとしながらも、税務総局などのデータをもとに資金洗浄などの疑いについて調べる方針。 
 パナマ文書はパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の内部資料。約1150万通の文書の流出後、各国メディアで構成される「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が検証。インドネシアから唯一参加したテンポ・グループは899のインドネシアの個人・法人が言及されていると指摘した。 
 財閥幹部のほか、フリーポート契約更新に絡む裏交渉に関与した疑いが持たれている「石油マフィア」レザ・ハリッド氏や国会議員ではジョニー・ゲラルド・プラテ氏(ナスデム党)らの名前が挙がっている。(配島克彦)

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