消えたカリジョド 更地になって整備へ
北・西ジャカルタの両区に位置する置屋街「カリジョド」が先月29日、ジャカルタ特別州政府による強制撤去が開始されてから約3週間。すっかり様変わりしたカリジョド地区を訪ねた。
「整備は5カ月あれば十分」とアホック知事は言った。現場に立つとその言葉通りに事態が動いているようだ。州政府が計画する緑地公園建設に向け、職員たちによるがれき処理が続いている。進捗状況を見つめる地元住民や、取り壊された住居のがれきの中から売買目的で鉄筋を集める人の姿があった。
ショベルカーががれきをすくい、トラックに次々と運んでいく。50人ほどの職員が、毎日午前8時ごろから午後9時まで働いている。西側にあるアンケ川沿いのクパンドゥアン2通りでは舗装工事も同時進行。職員によると、1.5キロ伸びる同通りに厚さ約30センチ、横幅約8メートルのコンクリートを敷き詰め舗装している。
「自宅がどこにあったのか、わからないほどの景色になってしまった」とつぶやき、街並みを眺めるのはユスフさん(38)。21年間、カリジョドの自宅でキオス(売店)を経営していた。妻は中部スラウェシ州パル県に帰郷させ、ユスフさんは一人、ジャカルタで新たな仕事を探している。
強制撤去で家を失い、撤去で唯一残った水道局所有の水道ポンプ施設で寝泊まりをしている。撤去からすでに2週間以上が過ぎた。バイクに乗って仕事を探しているが、ガソリン代がかかる。「カリジョド周辺に住んでいる同郷の友人からお金を借り、ガソリン代や生活費に使っている。生活は一変した。どんな仕事でも構わない、早く探して落ち着きたい」と語った。
作業員にまぎれ、解体現場にはがれきに埋もれるペットボトルや鉄筋を回収しに来ている姿もあった。(山本康行、写真も)