1000村でパトロール 森林火災2島6州 早期発見で防止
頻発する森林・泥炭火災に先手を打とうと、スマトラ島やカリマンタン島で新たな試みが始まった。環境林業省は地元自治体や軍、警察などと協力し、火災発生の危険度が高い2島6州の約千村でパトロールする。消化活動に加え、乾期入りとともに拡大の恐れがある火災を早期発見し未然に防止したい考えだ。
森林・泥炭火災は野焼きなどが原因と考えられ、毎年雨量が減少する乾期にスマトラ島やカリマンタン島で多発している。一度泥炭層まで火が広がると消火が難しいことや、火災による煙害が引き起こす健康被害が問題となっている。
米航空宇宙局(NASA)の観測によると、今月13日時点ですでに国内151カ所で高温地点(ホットスポット)が検出された。国家防災庁(BNPB)のストポ・プルウォ・ヌグロホ報道官は同日報道陣に対し、火災は一部地域で3週間ほど前から続いているほか、例年被害が比較的小さい東カリマンタン州で最も多い76カ所のホットスポットが検出されたと説明した。
例年の被害を繰り返すべきでないと、政府は本格的な乾期入りを前に対策に乗り出した。環境林業省が主導し、火災頻発地域のスマトラ島やカリマンタン島で集中的にパトロールを開始する。
環境林業省の森林・土地火災局のラフルズ・B・パンジャイタン局長は15日、地元メディアの取材に対し、パトロールの目的は火災の早期発見で、ことし1月に行われた会議でのジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の指示に基づくものと説明した。
まずは4月までに、南スマトラ州15村、リアウ州20村、ジャンビ州15村、西カリマンタン州15村、中部カリマンタン州15村、東カリマンタン州15村の計95村で実施。その後7〜11月にかけて、6州の計900村で行うという。
南スマトラ州内の15村では、今月から火災発生予防のためのパトロールが始まった。自治体のほか軍、警察、防火に取り組むコミュニティーや林業関係企業などが一体となり、各村で5日間をかけて見回るという。
■ホットスポット激減
13日時点で45カ所の高温地点(ホットスポット)が検出されたリアウ州も対策に着手。火災が発生した地域に消防隊員千人を配置したほか、シナールマス・フォレストリーなど企業のヘリコプター計3機で見回り、上空から火災の状況を把握していく。
アルシャジュリアンディ・ラフマン州知事代行は14日、地元メディアの取材に「森林火災が見つかればどこへでも、直ちにチームを派遣する。早く手を打たなければ、強風で火災が広がる」と話し、被害拡大防止に向け迅速に対応していく考えを示した。すでに13日に45カ所あったホットスポットが翌日には12カ所に減ったという。(木村綾)