ポリオを予防せよ 全国30万カ所で接種
「全国予防接種週間(PIN)」の8〜15日、インドネシア各地でポリオ(小児まひ)の予防接種が実施された。対象は0〜5歳(59カ月)の乳幼児で、生ポリオワクチン(OPV)を口に1滴入れる。近年、この予防接種を受けることがインドネシアでも一般的になっており、多くの乳幼児が顔をしかめながら口にした。
保健省によると、33州509地域の計30万カ所に会場が設けられた。少なくとも2372万人の乳幼児が対象となり、全国で95%以上が接種することを目指している。準備されたワクチンは、イスラムが使用を禁じる豚由来の成分を含んでおらず、イスラム学者会議(MUI)も予防接種の実施を認めている。
ジョクジャカルタ特別州だけは今回、予防接種を実施しなかった。同州保健局によると、同地では98%以上が予防接種済みで、野生株(自然感染)のポリオウイルスも確認されていないため、必要ないと判断した。新たに接種する場合は、注射による不活化ポリオワクチン(IPV)を近くの病院で受けるよう、呼びかけている。
■元気に育ってね
「大きくお口を開けてね」「まだ10カ月なのにお利口さんだねえ」。中央ジャカルタの下町クボンカチャンでも14日朝、地域の54人の乳幼児が予防接種を受けた。予防接種の傍ら、親たちはお菓子をつまみながら世間話で盛り上がる。大家族の集まりのようだ。
ワクチンは子どもが好きな甘い味だが、怖がって泣き出して口を開けない子もおり、同特別州の職員や地元のおばさんたち、手伝いで来た学生らが優しく声をかけたり、風船を使ったりして子どもをあやす。接種後、10分間は何も口に入れてはいけない。帰りにはお菓子やジュースが入った袋が配られた。
生後1カ月のムハマド・リスキーちゃんを抱えて妻と足を運んだファイザルさん(38)。不思議そうな表情のリスキーちゃんを優しい目で見守った。「元気にすくすくと育ってくれることが何より。生活している場所で親しみのある人たちと一緒にサポートを受けられるのは安心できる」と話した。(毛利春香、写真も)