ケーブルカバーどっさり 洪水の原因 銅線泥棒が投棄? モナス前の排水溝から
独立記念塔(モナス)広場に面する中央ジャカルタのメダン・ムルデカ・スラタン通りの排水溝から、銅線のケーブルカバーの廃棄物が次々と見つかっている。2月28日から今月3日までに運び出された量はトラック約15台分。原因は分かっておらず、「廃品回収者が投棄」「破壊活動か」などと憶測が飛び交っている。
ジャカルタ特別州政府は先月末、大雨の影響で州庁舎などモナス周辺の建物が20センチほど浸水したのを受け、幅3メートル、高さ1.5メートルの排水溝の清掃に着手。土砂とともにケーブルカバーが排水溝を埋め尽くしていたことを突き止めた。
ケーブルカバーは幅2.5〜7センチで、長さは2メートルを超えるものもあり、いずれも汚れている。3日には海軍特殊部隊の12人がモナス北側の大統領宮殿(イスタナ)前から排水溝に潜り、調査を続けている。
雨期に多発する洪水被害に備え、州政府は排水溝にたまった廃棄物の処理に力を入れてきた。モナス周辺には川がないにもかかわらず、近年、浸水被害が続出。2014年にはイスタナ前の北側や、運輸省や国防省、憲法裁判所などのある西側を掃除したが、州庁舎や米国大使館などが並ぶメダン・ムルデカ・スラタン通りは掃除していなかった。
ティト警視総監は3日、銅製のケーブルは売却できるため、何者かがケーブルを盗んで中の銅線を集め、外側のカバーを不法投棄した可能性があると説明した。
捨てられていたのは国営電力PLNか国営通信テルコムのケーブルカバーとみられる。ただ投棄者や目的は捜査中としており、地元メディアは「政府機関が集中する同地区を標的にした破壊活動か」などと報じている。
運び出されたケーブルカバーは、中央ジャカルタ・ブンドゥンガン・ヒリルのダナウ・ダンプラス通りにある州水質管理局宿舎の空き地に集められている。積み上げられたケーブルカバーは高さ約2メートルの山となっていた。
水質管理局職員のシンドンさんによるとカバーは1日2回トラックで運び込まれ、排水溝で付着した泥を落とすために一度洗っているという。3日午前には警視庁とPLN、テルコムの職員が調査に訪れた。シンドンさんは「ケーブルカバーは固くなっており、新しいものではないと思う。まだ他の場所にも同じようなごみがあるはず」と話した。(毛利春香、写真も)