違法住宅380棟を撤去 カリジョド西側の高架下
ジャカルタ特別州は1日、北ジャカルタ区プンジャリンガンの首都高速高架下に約500メートル連なる違法住宅密集地で380棟を撤去した。州政府は29日に強制撤去した置屋街「カリジョド」同様、プンジャリンガン地区の緑地化を進めるとしている。
プンジャリンガン地区は、カリジョドとアンケ川を挟んで西側に位置する。高架下で屋台を営んでいたシンタさん(33)は1日の強制撤去後、周辺のコスに移り住んだ。追い出された友人と身を寄せて住んでおり、それぞれ子どもが1人ずついる。屋台も家屋とともに撤去された。
シンタさんはカリマンタン島出身で、夫が数カ月前に病死し、経営していた会社が倒産、1カ月前にプンジャリンガンに越してきたばかり。住民登録証(KTP)はジャカルタだが、コスを探すのは一苦労だったという。ほぼ同時期に撤去したカリジョド住民の一部も住居を探しており、シンタさんは「朝から晩までコスの空き部屋を探した」と話した。やっとの思いで見つけたコスはひと月40万ルピアで、友人とシェアするという。
がれきが積み重なるプンジャリンガン地区では2日、売買目的で木材を集める住民や、故郷に帰らなかったり、身寄りや引っ越し先が決まっていなかったりする人々が多く見られた。シンタさんによると、住民の多くは中部ジャワや西ジャワ州出身で、職を求めてジャカルタに移り住んでいるという。
シンタさんは「6歳の息子がもうすぐ小学校に入学する。これからまた職を探さないといけない。コスが見つかっても、まだ安心できない」と話した。
プンジャリンガン地区では2006年にも、州政府が違法住宅を撤去したが、その後住民らは再び違法住居を建てた。今回の撤去に伴い、州政府は650世帯分の公営住宅(ルマススン)を提供する準備を進めている。ジャカルタのKTPを持つ住民向けだが、住民たちのほとんどが「そんな話は州政府から聞いていない」と不満を漏らしている。(山本康行、写真も)