F1持参金に政府支援 リオ・ハリヤント氏 初参戦 「マレーシアに取られるな」

 モータースポーツの最高峰フォーミュラ1(F1)に初参戦するリオ・ハリヤント氏(23)の持参金不足問題が過熱している。インドネシアへの観光客誘致に結び付けようと、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は24日、国家予算からの支援金拠出を承諾。一方でマレーシア政府も支援を検討しているとのうわさが広まり、インドネシア人初のF1レーサーへの支援をめぐる駆け引きが繰り広げられている。

 「『ワンダフル・インドネシア』のロゴを車体に付けたい。決して『ビジット・マレーシア』ではない」――。イマム・ナフラウィ青年スポーツ相は24日夜、中央ジャカルタの大統領宮殿(イスタナ)でジョコウィ大統領と会談後、報道陣にこう強調した。
 リオ氏がセカンドドライバーとして契約した英レーシングチーム「マノー・レーシング」は持参金1500万ユーロを提示。これまでに国営石油プルタミナから520万ユーロを調達したが、残りは未定のままだ。
 イマム青年スポーツ相は、青年スポーツ省から千億ルピア(約670万ユーロ)を出資すると表明したが、国会からは「どの予算枠からねん出するのか」と疑問視する声が続出した。
 元テニス選手のヤユック・バスキ議員(国民信託党)は同省の国家予算補正案について「他の競技に対する政府支援は不十分なのに、なぜ商業的要素の強いF1に公金を投じる必要があるのか」と異議を唱えた。
 イマム青年スポーツ相は大統領から承諾を得たことを強調し、あくまで同省の予算枠から配分すると理解を求めている。
 一方で、今回唯一のアジア人ドライバーとして参戦するリオ氏に対し、F1グランプリを観光資源としてアピールしてきたマレーシア政府観光局が支援を模索していると伝えられた。これに対し、イマム青年スポーツ相は不快感を示し、プルタミナ以外の国営企業や民間企業などにも支援を呼びかけていくとしたが、めどは立っていない。
 観光省から予算を出すべきだとの声も上がっている。スポーツ評論家のフリッツ・シマンジュンタック氏はコンパス紙に「国際舞台でインドネシアが観光を宣伝する良い機会になる」と強調し、他国に利用されることへの懸念を示している。(配島克彦)

続けアジア人レーサー 日イ2人の93年生まれ コンパス紙

 日刊紙コンパスは25日付スポーツ面でF1を詳報し、シーズン幕開けを告げるプレシーズンテスト(スペイン・バルセロナ)で初走行したリオ・ハリヤント氏らの動向を伝えた。数は少ないながらも世界の舞台に飛び出したアジア人をたたえ、特に先駆的存在の日本人レーサーにもスポットを当てた。
 1950年に参戦したアジア人初のF1ドライバー、タイのピーラポンパーヌデート親王からリオ氏までを振り返り、90年にアジア人初の3位入賞を果たした鈴木亜久里、これに続いた佐藤琢磨、小林可夢偉各氏を列挙。今回、マクラーレン・ホンダのテスト兼開発ドライバーに起用された松下信治氏とマノー・レーシングのセカンドドライバーに選ばれたリオ氏を「新世代のアジア人レーサー」として取り上げ、同じ93年生まれの若手2人に期待を示した。
 F1に参加したアジア人はこれまで21人の日本人のほか、インド、マレーシアの各2人、中国、タイ、インドネシアが各1人と計26人に上る。2008年以降、シンガポールで毎年開催されるグランプリを観戦するインドネシア人ファンも多く、リオ氏の晴れ姿に新時代の到来を重ね合わせている。(配島克彦)

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