置屋街カリジョド撤去へ 死亡事故機に本腰 ジャカルタ特別州政府
ジャカルタ特別州のアホック知事は9日、北ジャカルタ区の置屋街「カリジョド」の娯楽施設や住宅などを撤去、緑地化し公園を建設することを明らかにした。カリジョドは州内で100年以上続く「赤線地帯」。8日にカリジョドのカフェでビールを飲んだ男が飲酒運転で4人を死なせる事故を起こしたことをきっかけに、州政府は同地区を一掃する構えだ。
地元紙によると、カリジョドには売春施設を兼ねたカフェやディスコなどの娯楽施設が50ほどあり、約500人の女性が働いている。毎晩、アルコール類や女性を求める男性でにぎわう。
州政府は、北ジャカルタのプルイット貯水池付近の違法住居を撤去し、公園建設と緑地拡大計画を進めており、カリジョドでも同様に実施したいとしている。そのきっかけとなったのが8日の交通事故だった。
同日午前4時半ごろ、カリジョドから西へ約10キロ離れた西ジャカルタ区のダアン・モゴット通りで、乗用車が二輪車に追突、計4人が死亡した。西ジャカルタ署によると、乗用車を運転していた20代の男は仲間8人とカリジョドのカフェで500ミリリットルのビール計10本を飲んだ後、車を運転した。
車は同通りをバンテン州タンゲランに向け時速90〜100キロで走行、二輪車に追突し。二輪車に乗っていた夫婦が死亡した。車はその勢いで電柱に衝突、同乗していた仲間8人のうち男女2人も死亡した。同署は道交法違反(酒気帯び運転と過失致死)で男を逮捕した。
アホック知事は9日、この死亡事故で飲酒運転の危険性を訴えるとともに、カリジョドにあるカフェや売春施設を一掃する姿勢を示した。ティト・カルナフィアン警視総監は事故原因は飲酒と指摘、警視庁も州政府の撤去活動に協力することを明らかにした。ティト警視総監は「カリジョドだけでなく、その他の飲酒できる店がある地域でも取り締まりを強化していく」と話している。
地元紙がカリジョドで働く女性にインタビューしたところによると、同地には多くのプレマン(チンピラ)がいて、刑務所から出所した者が多いという。一掃に踏み切れば、プレマンたちが暴徒化する可能性もあり、撤去は困難だとの声も上がっている。
州政府はこれまで、2014年8月にも、中央ジャカルタ・タナアバンの国鉄線路脇の置屋街「ボンカラン」を取り壊している。(山本康行、写真も)