危機意識引き上げ 本社と肌感覚にずれ JJC調査244社中147社 出張・外出自粛も 3カ月で平常体制
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)は28日、定例の理事会を開き、サリナデパート前爆破テロ事件を受け、各社の対応に関するアンケート調査の結果を発表した。危機管理意識を高めた企業が一定数いた一方で、従来から危機意識を持って対応している企業が多いことがわかった。
JJCの吉田晋事務局長は「テロに対し、日本の本社とインドネシアの現場による肌感覚がずれていることがある」と述べ、アンケートで企業の現状を把握することが目的と説明した。
14日のテロ発生直後の19、20の両日にアンケート調査を実施。事件後、危機管理レベルを上げたと回答したのは244社中147社で、97社が従来通りと回答した。「従来通り」の中には、元々危機管理に対する意識があったとする企業が目立った。
新たに講じた対策について、「急用ではない出張の自粛」(103件)や「夜間・休日の不要な外出の自粛」(118件)、「不特定多数が集まる場所への外出自粛」(164件)などの対応が多かった。ほかに「緊急時の連絡体制の再確認」(10件)や「外国人の多い飲食店・施設を避ける」(8件)、「出張者のホテル変更」(4件)、「警備員の増強」(2件)があった。
危機管理対策を平常時に戻す見通しについて、10社がすでに平常に戻したとし、大半の企業は次の事案が発生しなければ、3カ月以内に戻すと回答した。
吉田事務局長は「調査結果が各企業の本社と危機管理レベルを協議する際の指針になれば」と話した。
■ゴーベル氏、仲介役に
JJCと在インドネシア日本大使館は22日にラフマット・ゴーベル前商業相と会談し、今後の日本企業とインドネシア政府の対応について、具体的な話し合いを行った。ゴーベル氏は2月末に主要経済閣僚と日本企業による会合を開く方向で進めると語った。
ゴーベル氏は会談の冒頭で、「政府は昨年末から立て続けに経済政策パッケージを出しているが、インドネシア人でも理解するのは難しい」と指摘。そのなかでインドネシアへの投資上位国となる日本企業が投資に対して抱える課題を政府に伝える必要があると話した。
ゴーベル氏は、日本企業と主要経済閣僚を交えた会合を提言。すでにソフヤン・ジャリル国家開発計画相など数人の閣僚に伝えているとし、各省庁に日本企業の課題に対する回答を準備させると語った。ゴーベル氏は「ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は日本側の声を聞きたいと言っている。個別項目については、私がフォローする」と語った。
■ビザ免除で活動拡大
法務人権省入国管理総局が昨年12月に発行した回状により、観光を目的にしたビザの免除による活動範囲が拡大されたことなどが、理事会で報告された。これまで認められていなかったとされる家族の来イや、インドネシアにおける本社・代表事務所で行われる会議のための来イも免除対象になった。JJCは入国管理局の担当官に浸透していない可能性があるとして、回状の写しを持参するなどの対応を心がけるよう注意喚起した。(佐藤拓也)