外国人に不動産相続 19年ぶり政令改定 イ配偶者の所有認める

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、在留外国人の住宅所有に関する政令(2015年第103号)を発布した。外国人に住宅の使用権の相続を認めたほか、これまで25年間だった使用権の有効期間を30年間に変更、延長や更新も可能になった。また法令としては初めて、外国人と結婚したインドネシア人に土地利用権を認めることを明記した。
 新政令の発布により既存の政令(1996年第41号)は無効となる。前政令同様、外国人には戸建て住宅やマンションの部屋などの使用権の取得が認められている。
 これまで使用権の付与は25年間が原則だったが、今回30年間となったのに加え、20年の延長、さらに更新する場合30年と計80年間の有効期間が得られるようになった。
 また、不動産の使用権を持つ外国人が死亡した場合、その配偶者や子どもなどへの使用権の相続を認め、外国籍でも相続が可能になった。以前は当事者が死亡した場合、1年以内に権利を売却する必要があった。
 外国人の不動産所有をめぐる規制緩和への期待が高まっていたが、新政令はインドネシア人が持つ土地利用権でなく、これまでと同じ使用権の取得を認めるにとどまる。東急不動産インドネシアの堀川泰取締役は「市場で流通しているマンションの多くは土地利用権が必要。市場への影響は少ないと考えられる」と述べた。
夫婦間の取り決め
 新政令の第3条第1項では、外国人と結婚したインドネシア人は「ほかのインドネシア人と同等の土地所有権を持つ」と明記。外国人には認められていない土地利用権なども認められることになる。一方で、同第2項で「ただし第1項の土地所有権は、公証人の前での夫婦間の取り決めがある場合に限る」と補足した。
 インドネシア在住の日本人や日系企業の法律相談を行い、土地問題に詳しいファリーダ法律事務所のイク・ファリーダ弁護士によると、外国人配偶者を持つインドネシア人の土地所有権をめぐっては議論が分かれているという。
 土地基本法(1960年第5号)第9条には「インドネシア人は男性も女性も、土地に関わる権利を等しく持つ」とあり、インドネシア人は外国人と結婚後も不動産の購入や所有に関する権利を持つと解釈できる。ファリーダ氏は「新政令の第3条第2項によれば、外国人と結婚したインドネシア人は夫婦間の取り決めがなければ不動産を購入できず、土地基本法第9条に違反している」と指摘する。
 一方、婚姻法(1974年第1号)第35条第1項では結婚後の資産は夫婦2人のものとされ、同第29条では結婚時や結婚前に夫婦間で定めた取り決めについて、原則結婚後に修正できないとしている。この二つから外国人との結婚後、インドネシア人は不動産を購入できないと考える意見もある。
 二つの異なる解釈の法律があることで、外国人と婚姻関係にあるインドネシア人の不動産購入はこれまでグレーゾーンとされてきた。しかし、外国人の夫を持つファリーダ氏が南ジャカルタのマンション購入を拒否されたことをきっかけに争点となり、昨年5月から憲法裁判所で関連法の違憲審査が行われている。近く判決が出る見通しで憲法裁の判断に注目が集まる。(木村綾)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

クナパくんとブギニ先生NEW

私のじゃかるた時代NEW

編集長の1枚NEW

キャッチアイ おすすめニュースNEW

インドネシア企業名鑑NEW

事例で学ぶ 経営の危機管理

注目ニュース

マサシッ⁉

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

有料版PDF

修郎先生の事件簿

メラプティ

子育て相談

これで納得税務相談

おすすめ観光情報

為替経済Weekly