潜在力大きな「巨大市場」  ジャパン・パビリオンに43社

 ジェトロが、日本各地の中小・中堅の企業の海外進出を支援する目的で、初めてジャパン・パビリオンを開設したのは2011年。ことしはちょうど5回目にあたる。この間、同パビリオンへの出展者数は初回の8社1団体から43社へと約5倍になった。
 ことしのジャパン・パビリオンの床面積は411平方メートルと昨年より約100平方メートル広がり、コマ数も35コマから45コマに増えた。
 マニュファクチャリング・インドネシアは、東南アジアでもバンコクの展示会と並ぶ最大級の機械・部品の展示会で、日本企業の出展意欲は高い。特に資金力・企画力が弱い中堅・中小企業には、数少ない海外への出展チャンスであり、1週間程度を予定していた募集期間も、2日目には募集数に達し、出展企業を審査で決めた。自治体のなかには、企業への支援として出展費用の一部負担などを行うところもある。
 ジャカルタで開催される多くの機械関連の国際展示会の中でも、このマニュファクチャリング・インドネシアは「日本企業のプレゼンス(存在感)が最も強い展示会」(ジェトロ・ジャカルタ事務所の吉田雄シニア・ディレクター)だ。
 日本の大手機械メーカーには、最終ユーザーの日系企業に売り込める機会であり、中堅・中小企業には、将来の市場浸透のチャンスであると同時に、地元企業と直接会い、技術提携先や販売代理店契約先を探す場でもある。「今後のことを考えると、投資が低迷しているいまこそ中小企業がインドネシア市場に参入できる最後の機会になる可能性がある」と吉田氏は話す。
 ジェトロでは、展示会に合わせ、事前に希望を調査した日本企業と、日本企業との提携を望む現地企業を引き合わせる場を設けるなど、側面から日イ企業間の連携を支援する。

自治体熱い視線
 愛知県、長野県、島根県、鹿児島県の4県が、自治体が直接あるいは地元産業振興を目的とする自治体の外郭団体を通じて地元企業をとりまとめ、合わせて19の中堅・中小企業がジャパン・パビリオンに出展する。

▽愛知県
 県産業労働部産業立地通商課の海外展開支援グループが窓口となって、参加を支援。ことしで3回目の出展で、参加企業は7社、昨年より1社増加した。研磨加工機、真空熱処理炉、工業用ガスバーナーなどのサンプル・模型を展示したり、ボール盤、エアーブロー機などを実物展示する。
▽長野県中小企業振興センター
 参加企業数は7社(昨年は5社)。工作機械の小型マシニングセンターのメーカーから機械部品・自動車部品メーカー、チューブメーカーまで幅広い業種の中小企業が製品を展示する。
▽しまね産業振興財団
 インドネシアでの展示会には初参加。自動精密切断機メーカー、試料調製装置メーカーなど支援企業3社が出展。
▽かごしま産業支援センター
 以前は民間を通じて地元企業が参加していたが、ことしは、海外市場の重要性から県の外郭団体がとりまとめ出展を支援する形に切り替えた。投光器などのLED製品メーカーと自動車関連向けろ過器・洗浄機メーカーが支援を受けて参加する。

■単独出展も増加
 最近増えているのは、自治体が支援し、自治体あるいは外郭団体などを通じて、地域の中小企業が一つのブースで複数の企業の製品を売り込むケースだ。
 今展示会でも、▽東京都中小企業振興公社(支援企業7社)▽新潟県の三条市▽石川県鉄鋼機電協会▽相模原市産業振興財団▽大阪国際経済振興センター(同4社)▽名古屋市――がブースを開設。このうち、名古屋市のケースは、市の支援を受けて4社が共同のブースを使って出展。市としては初の産業分野での海外出展支援事業となる。
 変わったところでは、多摩信用金庫が、取引先に参加を募り、13年からブースを設けている。


非接触型測定器など ▽ニコン
 昨年と同規模の40平方メートルのブースに産業用検査機器と測定機を二本柱に実物展示するほか、展示が難しい大型システムは動画で紹介する。
 産業用検査機器分野は工業用顕微鏡、デジタルマイクロスコープ、1ミクロン単位で測定できる測定顕微鏡など。測定機分野では、多関節アーム型三次元測定機、高精度測定用三次元測定機などを展示する。
 動画展示では、レーザー光線でモノの寸法を測る非接触大規模空間自動計測機やX線・CT検査システムを紹介する。
 ニコン全体では、売り上げのうち産業用機器は1割以下だが、カメラのレンズ技術を利用した非接触型の計測機が強み。
 ことし9月に西ジャワ州のカラワン工業団地内に開設したショールーム=写真=では、インドネシアでは初のX線CT検査システムや非接触型の三次元測定機などを展示、測定や検査関連のセミナーを開催している。
 主な顧客は、日系の自動社関連企業だが、自動車の販売が低迷するなかでも、自動化につながる検査機器などは底堅い需要があり、「引き合いは年初に比べるとむしろ増加している」(現法ニコン・インドネシアの小林洋平マーケティングマネージャー)という。
 ローカル企業への売り上げは10%程度だが、スマートフォン関連などで、政府が現地調達比率の引き上げを求める動きがあり、中長期的なポテンシャルは大きな市場と期待をかける。


ローカル企業浸透狙う ▽三菱電機
 現法の三菱電機インドネシア設立3周年を迎え、事業も軌道に乗ったことから二つのブースを合わせ昨年の倍以上の165平方メートルのスペースを確保、日系企業の顧客だけでなく、知名度の浸透が遅れているローカル企業への売り込みを図る。
 FA関連、組立用中小型ロボット、NC装置、ワイヤー放電加工機の主要製品群から17種類の最新鋭機械を展示するほか、販売に力を入れている工場向けのLED照明製品を紹介する。
 工業団地が集中するジャカルタ東郊のチカランにある100人収容可能な「FAセンター」=写真=では、顧客の要望に応じたセミナーを年間100回以上開催する。セミナーは、ジャカルタ周辺だけでなく、バンドン、スラバヤ、スマランの各市でも定期的に開いている。
 日本語とインドネシア語が通じる日系の顧客専門部署があるのも強みだ。
 展示会では、製品の単体売りだけでなく、システムとして石油・ガス企業、鉱山企業、電力企業向けの「トータルソリューション」の提案にも力を入れる。
 現法でFA・産業部門を担当する木村守男ゼネラルマネージャーは、二輪・四輪の販売低迷で自動車関連の設備投資には当面期待できないものの、政府インフラ投資関連と、食品・飲料、医薬品などの分野では、今後も堅調な投資が続くとみている。


産業用機器に展示絞る ▽オムロン
 昨年700平方メートルの展示スペースで来客を驚かせたオムロンは200平方メートル規模のブース展示となる。
 昨年は、産業用部品制御機器、信号などの社会システム機器、健康機器まで同社が扱う全ての分野の製品を「オムロン・トータルフェア」として展示したが、ことしは「産業用制御機器事業部門」の単独出展に絞った。同部門に限れば、ブースの面積は変わらない。
 昨年は、会社全体の基礎技術水準の高さの紹介に主眼を置いたのに対し、ことしはセンサー中心とする検査機器、動作制御機器製品とアプリケーションを展示し、「顧客の要望に対しどう応えられるかを示したい」(現法オムロン・エレクトロニクスの岸田行生マネージャー)という。
 今展示会のステージでは、欧州で「第4次産業革命」とも呼ばれるヒトと技術の調和を目指す製造業での最新トレンドを紹介する。
 オムロンは、ジャカルタ近郊に電子部品工場を持ち、電子部品、制御機器、車搭載の電装部品を生産、9割近くを海外に輸出している。2棟の新工場を建設中で、来年には生産能力は2倍に拡大する。
 また、現法本社と同じ建物の1階に「オートメーションセンター」=写真=を14年に開設、定期的なセミナーなどを通じ、現地での人材育成、技術や品質にこだわる精神などの普及に努めている。


体験ブースを拡充 ▽キーエンス
 13年9月に現地販売法人を設立。昨年の展示会=写真=では予想以上の来客となったことから、新しい顧客を開拓する機会として2年連続の出展を決めた。ブースの規模は、昨年と同じ36平方メートルを確保した。
 展示品は、品質管理用の各種センサー、デジタル顕微鏡、外形寸法計測器、レーザーで2次元コードを書き込むレーザーマーカー、検査工程で使用する安全センサーなど。日系企業の倉庫需要の拡大に対応し、倉庫管理用の2次元バーコードリーダーも展示する。
 昨年好評だった来場者が直接、機器に触れられる「体験ブース」を拡充、ことしは寸法計測器、デジタル顕微鏡を合わせて8台を設置する。
 主な販売ターゲットは、自動車関連の日系企業だが、2割程度にとどまっている自動車の輸出比率が拡大していくにつれ、トレーサビリティー(追跡可能性)の面からより厳しい品質管理が企業に求められるとし、センサー、計測器などの需要増を期待する。
 現法キーエンス・インドネシアの黒田守社長は、現地企業の技術水準は確実に上昇しているものの「タイやマレーシアにまだ及ばない。追いつくまであと5〜6年かかる」と指摘、国内製造業の発展には「産業の多様化と裾野の拡大」を進める必要性を強調した。

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