人工島造成 中止を要求 漁師や環境団体抗議 ジャカルタ湾

 ジャカルタ湾に造成中の人工島について地元漁師や環境団体が埋め立て中止を訴えている。反対派は環境や生態系に影響を与える上、ジャカルタ特別州が出した埋め立て許可が違法だとして工事差し止めを求めて提訴。事業を積極的に推進してきたアホック知事は反対運動は政治的なものであるとして継続する姿勢を示している。                                                                    
 北ジャカルタ・ムアラアンケに住む漁師の団体や環境団体は、州政府の許可を受けて埋め立てが進む17島のうちの「G島」の埋め立てに抗議。地元メディアは「埋め立て開始以降、海水が濁るようになり、漁獲量が減った」との漁師らの声を伝えた。
 ジャカルタ湾埋め立てはスハルト政権時の1995年の大統領令で規定され、州知事の許可や周辺住民の同意で実施可能としている。これを基にアホック知事は昨年知事令を発布し埋め立てを許可した。17島のうち3島は州が直接開発、残り14島は国営港湾第2ペリンドや州営ジャカルタ・プロペリンド、プンバングナン・ジャヤ・アンチョールなど8社が開発する。G島を含む4島の埋め立てが始まっている。
 反対派は州は環境に与える影響を調査していないと主張している。また法律擁護協会(LBH)は大統領令の後に制定された環境法では海の埋め立ての認可は海洋水産省の権限となっており、知事令は無効だと主張、「埋め立てはアホック知事の権限を超えている」という。
 漁業団体などは9月、G島埋め立てを続けるムアラ・ウィセサ・サムドラ社の埋め立て差し止めを求めて、ジャカルタ行政裁判所に提訴した。
 こうした動きに対し、アホック知事は埋め立ては1995年の大統領令で決定しており、それに沿って実施していると主張。また当時環境省が環境への影響も調査済みで、計画通り進めるとしている。さらにジャカルタ湾の汚染や漁獲の減少は95年当時からあり、現在汚染が進んでいるとしても埋め立てによるものではないと指摘し、抗議には政治的な背景があるとした。
 人工島は32キロにわたる巨大防潮堤の内側に造成、計5100ヘクタールとなる。観光や娯楽のほか、商業、金融、MICE(研修、視察、会議、展示会)などそれぞれの島に特化した機能を持たせて、総合的に開発する。(堀之内健史)

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