現職優勢 リスマ氏 圧勝 初の地方統一首長選 8州222県34市で同時開催

 史上初の地方統一首長選挙(有権者約1億2839万人)が9日、全国8州222県34市で行われた。東ジャワ州スラバヤ市や西ジャワ州デポック市、バンテン州南タンゲラン市など大都市では現職が圧倒的な支持を獲得、スラバヤ市のトリ・リスマハリニ(通称リスマ)氏は民間調査機関の開票速報で85%に達する勢いだ。直接選挙で同時開催する世界最大規模の首長選となり、総選挙委員会(KPU)は18日に県市、19日に州の公式集計結果を発表する予定。
             
 現職と新人の一騎打ちとなった東ジャワ州スラバヤ市では、闘争民主党(PDIP)などが擁立した現職正副市長のリスマ・ウィスヌ組が再選を確実にした。人口280万人の国内第2の都市を率いて5年。国際的にも評価の高い女性市長は環境整備や国際競争力強化などを掲げ、対抗馬を大差で引き離した。
 リスマ氏は9日午前7時半ごろ、ウィヨン村のポンドックインダ公園の投票所で投票、親しみやすい人柄で知られる同氏は報道陣の質問に答えたり、住民と写真を撮ったりした後、歩いて自宅へ戻った。
 午後4時25分ごろにはカプアス通りにある陣営事務所に到着。陣営の独自集計がリスマ勝利を告げると、リスマ氏とウィスヌ氏は支持者や報道陣を前にピースサインで勝利宣言。「これからも皆さんとともにスラバヤの街づくりに取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
 首都南郊の衛星都市、西ジャワ州デポック市では福祉正義党(PKS)とグリンドラ党が擁立したイドリス・プラディ組が優勢に立った。
 選挙戦では市内のインフラ整備や教育・保健施設の建設、郡ごとの公園整備などを公約として掲げ、180万人の市民にアピール。国立イスラム大学(UIN)講師を経て副市長を務めてきたイドリス氏は認知度も高く、前市長が2期10年かけ築いてきたPKSの地盤を守り切った。
 イオンモールやジャカルタ日本人学校(JJS)などがあるバンテン州南タンゲラン市では、ゴルカル党などが擁立した現職のアイリン・ベニャミン組が再選を確実にした。教育や保健など社会保障の整備や、大量高速鉄道(MRT)の誘致政策などインフラ開発への積極姿勢が評価された。
 同市は2008年にタンゲラン県から分離し、今回が2回目の市長選。選挙戦では昨年発覚したアイリン氏の夫ら一族の汚職も取り上げられ、3候補が汚職撲滅を強調した。同州県市の自治体や議会の要職に親族を送り込む「王朝」の基盤は強固で、アイリン氏は圧倒的な知名度で対抗馬を引き離した。
 西ジャワ州バンドン県では、現職のダダン・グナワン組が当選を確実にした。持続的な経済発展や行政改革を訴え、ゴルカル党推薦候補に軍配が上がった。
 同県は西ジャワ州最大の人口321万人を抱える。貧困率や失業率が高く、若者の雇用創出など経済政策が焦点となった。開票速報で得票率60%超を得たダダン氏は「(有権者数248万人のうち)50%は獲得できると確信していた」と自信を見せた。

5カ所で投票延期
 KPUは、1州2県2市の5カ所で候補者登録をめぐる訴訟が続いているとして首長選を延期した。中部カリマンタン州、北スマトラ州のプマタンシアンタル市とシマルングン県、北スラウェシ州マナド市、西パプア州ファクファク県で、それぞれ出馬を拒否された候補者がKPUを訴え、行政裁で係争中。早急に訴訟を終え、9日から21日以内に投票を行う予定。
 ユスフ・カラ副大統領は9日、メトロTVのトークショーで「インドネシアは効率的な統一地方首長選を目指している。地域住民の民意を反映できる選挙制度の確立が重要だ」と説明。特定の一族が地方政治を掌握する「王朝」への批判も根強いが、「シンガポールやフィリピン、インドなどでも一族による政治はある。有権者が出自だけでなく首長候補の能力を見極め、信任を得ることが民主主義の大切なプロセスだ」と強調した。(木村綾、山本康行、佐藤拓也、8面に関連)

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