ジョコウィ勝利 首都の変化渇望 庶民派に支持集まる 知事選決選投票

 ジャカルタ特別州知事選挙決選投票は20日投開票され、民間調査機関の開票速報(開票率100%)の結果、第1回投票で首位通過のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)中部ジャワ州スラカルタ(ソロ)市長(51)が53.68%を獲得、現職のファウジ・ボウォ州知事(64)の46.32%を引き離し、当選が確定的になった。ジョコウィ氏は同日夕、中央ジャカルタ・メンテンの選対本部で勝利宣言し、ジャカルタ市民が団結して首都を改善していこうと呼び掛けた。(蓜島克彦)

 7月の第1回投票の結果、過半数を獲得した候補がいなかったため、得票率42.6%で1位のジョコウィ氏と同34.05%で2位のファウジ氏が決選投票に進出。直接選挙を導入した2007年から2回目のジャカルタ州知事選で、初となる決選投票が行われた。
 インドネシア調査研究所(LSI)の開票速報によると、ジョコウィ氏は得票率53.68%で、46.32%のファウジ氏を7.36%引き離したが、第1回投票の票差8.55%からやや差を縮められる結果となった。
 ジョコウィ氏は「選挙管理委員会の公式集計結果を待たなければならないが、平穏に知事選を実施できたことに対し、ファウジ氏や私の支持者、すべてのジャカルタ市民に感謝したい」とあいさつ。「今までのようにまた路地裏を巡り、感謝を伝えたい。任命されたら、すぐに仕事に取りかかる」と力強く宣言した。ファウジ氏は同日夕、ジョコウィ氏に電話して祝福したという。
 ジョコウィ氏は2005年、古都ソロの市長選に闘争民主党(PDIP)から出馬し初当選。10年に90.08%の記録的な得票率で再選した。低所得者層の福利厚生を重視し、教育や医療の無料化を実現。カキリマ(露天商)や不法占拠者の整備では市民対話を重視し、伝統市場の活性化を図った。
 一方で、国際観光都市として古都を宣伝しようと、さまざまな国際会議を誘致。国内外の来訪者向けの高級ホテル建設や市街地の開発にも注力し、新空港ビル建設、バスや列車などの新交通機関を次々と導入。10年には汚職撲滅に貢献した人物に贈られるブンハッタ反汚職賞を受賞した。
 今年に入り、ソロの高校生が造った国産車「エスエムカ」を公用車に採用すると発表。「新しいビジョンを持つ地方首長」と一躍時の人となり、全国レベルで知名度が急上昇した。
 ジャカルタ州知事選には、ゴルカル党のユスフ・カラ前党首(元副大統領)の誘いを受け、カラ氏の推薦を闘争民主党(PDIP)のメガワティ党首(元大統領)が承認。09年の大統領選でメガワティ氏とペアを組んだ有力退役軍人のプラボウォ・スビヤント氏が、副知事候補として、ゴルカル党の国会議員であるバスキ・チャハヤ・プルナマ氏(通称アホック)を推薦し、バスキ氏はプラボウォ氏のグリンドラ党へ入党して出馬するに至った。
 選挙戦終盤では、ファウジ陣営がプロテスタントで華人のバスキ氏を標的にした。ジャカルタ土着のブタウィ人でムスリムであることを強調し、首都の問題に無理解な落下傘ペアと攻撃を展開。しかし、渋滞や洪水など山積する問題に対する任期5年間の成果を問われ、「庶民派」「制度刷新」「多様性尊重」をアピールするジョコウィ氏との対照的な姿勢が目立った。
 決選投票では、第1回投票で擁立候補が敗北した後、ファウジ氏への支持を表明した福祉正義党(PKS)など主要政党の支持者の動向が鍵を握るとみられたが、組織票の一部はジョコウィ氏に流れ、変化を渇望する有権者の声が反映される結果となった。

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