準備の遅れに警告 選手村建設進まず アジア大会
2018年にインドネシアで開催予定の第18回アジア大会に向け、このほど整備計画のマスタープランが発表された。計画が国際社会に評価される一方で、準備の遅れが内外から指摘されている。
インドネシア・オリンピック委員会(KOI)は先月29日〜30日に開かれ、アジア19カ国が出席したアジア・オリンピック評議会(OCA)の地域フォーラムで、アジア大会整備計画のマスタープランを提出した。先月、KOIのリタ・スボウォ前会長の任期切れに伴いエリック・トヒル氏が新会長となったことから計画を再考、予定より2カ月遅れの提出となった。
OCAは、計画で示された中央ジャカルタ・クマヨランに7棟建設予定の選手村について、スカルノハッタ空港から25キロ、メーン会場となるスナヤンのブンカルノ競技場から20キロという立地の利便性を評価。計画ではそのほか、東ジャカルタ・ラワマングンに水泳プールを兼ね備えたフェロドローム・スポーツ・ビルの建設や来場者への情報提供を行うエンターテインメント施設の建設が示され、OCAは計画に基づく大会の成功を「確信している」と前向きな見方を示した。
一方でOCAは準備の「遅れ」を警告。KOIのエリック会長は、英字紙ジャカルタポストの取材に「OCAは新設・改修工事の遅れを懸念している」と明かした。インフラの整備と試合会場の建設・改修を急ぐようにとの指摘があったという。
特に問題となっているのがクマヨランでの選手村の建設で、9月に始まる予定だった工事が国会議員の反対で滞っている。11ヘクタールの候補地に着工するための国の許可がおりず、国会第2委員会は土地は国のものだとして譲渡を拒否している。ブンカルノ競技場の改修工事についても同じ問題を抱えているという。
「開催地変更の恐れ」
開催をめぐっては、ジャカルタ特別州のアホック知事が、準備の遅れにより開催地が変更される恐れがあると述べ、ジャカルタ開催が見送られる可能性が取りざたされており、第19回アジア大会開催予定の中国が名乗りを挙げる事態となっていた。
エリック会長は「スポーツは主催国のプロモーションにつながり、ビジネスや観光面での利点が大きい。(アジア大会の開催は)インドネシアにとってまたとない機会。無駄にしないようにしよう」と意気込みを話している。(木村綾)
◇ ジャカルタ・アジア大会 2018年8月18日〜9月2日、五輪競技28種目とその他の競技8種目の計36種目がジャカルタ特別州と南スマトラ州パレンバンの2都市を中心とする4カ所で開催される予定。過去最大規模の選手1万3千人が参加予定。ジャカルタ開催は1962年以来56年ぶり。前回のアジア大会は韓国・仁川で開かれた。