泥炭復興庁を設立 温暖化対策公平に COP21で大統領発表

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は30日、パリで開かれた第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)の首脳級会合で演説し、スマトラ島やカリマンタン島の森林・泥炭火災による泥炭地荒廃の再生や泥炭の管理・利用などを直轄する「泥炭復興庁」を設立すると表明した。世界最大規模の森林を保有する国として、地球温暖化対策の新たな国際的枠組みづくりを歓迎するが、途上国の発展を妨げず、公平なものであるべきだと訴えた。

 ジョコウィ大統領は「インドネシアでは人口の6割が沿岸部に居住しており、地球温暖化の被害を受けやすい状況にある」と説明。国内で発生する自然災害の8割は気候変動と関係があると強調した。
 大統領はことし発生した近年最大規模の森林・泥炭火災について報告した。エルニーニョによる異常気象などが火災を引き起こしたとの見解を示し、各国が協働して気候変動に取り組む必要性を指摘。火災で荒廃した泥炭地の再生や、泥炭火災の防止を目的とした泥炭復興庁の設立を宣言した。  
 またジョコウィ大統領は、世界有数の森林面積を誇る国として「インドネシアは気候変動に率先して取り組む」と強調。二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を2030年までに、何も対策を取らなかった場合と比べ29%削減し、さらに国際支援を得られた場合は41%削減すると発表した。泥炭利用などを押し進め、再生可能エネルギーの国内電力比率を25年までに23%に増加させることで対応するとした。
 COP21では、先進国だけに温室効果ガスの削減目標を義務付けた1997年の京都議定書に代わり、全締約国に削減を求める枠組みの構築を目指している。ジョコウィ大統領は、新たな枠組みは「長期的観点を持ち、途上国の経済発展を妨げない公平なものであるべきだ」と主張。気候変動対策のために先進国が途上国に対し、20年までに年1千億ドルの支援金を供与するとCOP15で決めた約束の早期履行に期待を示した。
 約5分間の演説の冒頭ではパリ同時多発テロに言及。「世界最大のムスリム人口を擁する国として、イスラムは平和や寛容を教えていると強調したい」と述べ、テロは特定の宗教や国家、人種とは関係がないとの見解を示した。
 演説後の記者会見でジョコウィ大統領は、泥炭復興庁は泥炭の管理や利用に関する許可を出すことなどが業務に含まれると説明。設立準備は最終段階に入っており、「来週に設立の署名を行う」とした。
 世界資源研究所(WRI)の報告によると、泥炭火災は二酸化炭素の21倍の温室効果があるメタンを多く排出するため、今年のインドネシアの温室効果ガスの年間排出量は1997年以降最悪となっている。(藤本迅)

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