ロヒンギャ 人身売買 マレーシアへ密航ほう助 メダン業者
ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ難民がアチェ州の収容先から逃亡するケースが続発している。警察当局は、マレーシアへの密航をほう助しようとした疑いで北スマトラ州メダンの人身売買組織を摘発。密航費用として1人2千万ルピアを要求されたとの難民の証言もあり、収容期間の長期化に伴う犯罪への監視を強化している。
現地からの報道によると、今月に入り、北アチェ県ブラン・アドゥ村のロヒンギャ難民の収容施設から難民が次々と逃亡した。同施設には一時322人のロヒンギャ難民がいたが、7日には236人に、16日には140人まで減少した。
地元警察は20日、難民の逃亡をほう助した疑いで、メダンに拠点を持つ人身売買組織の関係者とみられる男2人を東アチェ県で逮捕した。2人は警察の調べに対し、メダンに潜伏しているロヒンギャ難民から仲間を逃亡させるよう依頼されただけと話しているといい、これまで5回にわたり計21人を収容施設から連れ出したという。
収容施設から逃亡し、メダンのホテルやアチェ州内各地の民家などに潜伏している難民が続出。マレーシアに家族がいる難民も多く、メダンでは密航を約束して1人あたり2千万ルピア前後を要求する業者も摘発されている。
また9月に、ロヒンギャ難民の女性4人が地元住民に性的暴行を受けたとのうわさが広がったことも脱出に拍車をかけているという。4人は警察に訴えたが、捜査の結果、警察は4人が虚偽の証言をしたとみている。
難民はことし5月ごろにスマトラ島沖で保護された難民認定希望者。インドネシアを経由し、オーストラリアを目指していたとみられる合計1700人以上が保護された。アチェ州各地の収容所で、国際移住機関(IOM)やインドネシア政府、自治体などの支援を受けて生活している。
東南アジア諸国連合(ASEAN)は、ロヒンギャ難民を支援するための信託基金を設立する方針を発表、域内の人身売買や越境犯罪などの摘発を強化している。