犠牲祭 共に祝う 宗教の多様性大切に 喜捨の肉、衛生に配慮

 ムスリムの最も重要な伝統行事の一つ犠牲祭(イドゥル・アドハ)を迎えた24日、約2億人のムスリムが全国各地で祝った。早朝から祈りをささげた後、喜捨された牛やヤギ、羊を解体し、肉を貧しい人々らに振る舞った。レバラン(断食月明け大祭)に衝突があったパプア州でも平穏に祝い、宗教の多様性をあらためて尊重する機会になった。

 中央ジャカルタのイスティクラル・モスクではジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が1.3トンの牛、ユスフ・カラ副大統領が1.2トンの牛をいけにえとして寄付した。ジョコウィ大統領は南カリマンタン州バンジャルマシンや中部ジャワ州ソロなどにも牛を寄付したという。
 同モスクには計牛23頭とヤギ10匹が寄付され、昨晩解体した。肉の配布時には住民が殺到しけが人が出るなど危険なため、周辺のモスクや市場などへ配布した後、中央ジャカルタの住民ら約1万人の手に渡った。
 ジャカルタ特別州では、事前に許可を得ていない路上など公共の場での食肉解体は禁止されている。南ジャカルタのショッピングモール「ブロックM・スクエア」前の貴金属店「シンガラン」では、毎年恒例の解体と肉の配布が行われた。同店オーナーのサギさん(65)は「州の許可をきちんと得ているが、こまめに掃除をして衛生面に気を付けることが条件。それができない場合は罰金を科せられる」と話した。
 ジャロット・サイフル・ヒダヤット副知事によると、同州内で病気に感染した牛やヤギ10頭が見つかり、引き続き3日間は検査や調査に力を入れるという。
 パプア州トリカラ県でも同日、ムスリムが犠牲祭を祝った。同県ではレバラン初日に、地元のキリスト教団体メンバーがムスリムの集団礼拝を襲撃、暴徒化する事件が発生した。この日はコフィファ社会相が集団礼拝に出席、7千人のムスリムと祈りをささげた。
 国民評議会(MPR)のヒダヤット・ヌル・ワヒド副議長はいけにえの肉は宗教に関係なく誰でも手にすることができるとし、「イスラムはテロや過激派のような怖いものではない。宗教は幸せや安心感、解決策をもたらすもの。犠牲祭を共に祝うことでインドネシアの統一感を高めることができる」と話した。(毛利春香)

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