ウナギ、日本へ輸出を 来月からボゴールで養殖 元研修生らの経営者団体

 日本へのインドネシア人元研修生らでつくる経営者団体が10月から、西ジャワ州ボゴール県でウナギの養殖を始める。2014年に絶滅危惧種に認定されたニホンウナギの大幅な漁獲制限・禁止を見込み、インドネシア産ウナギの日本への輸出を目指す。日本での経験を生かし厳しい食品基準を満たし、将来はウナギ加工食品の輸出も計画している。
 養殖を始めるのはインドネシア研修生実業家協会(IKAPEKSI=イカペクシ)。会員ら28人が出資し、ボゴール県チアンピア地区に1千平方メートルの敷地を確保した。まず、味・品質がニホンウナギに最も近いとされるインドネシアのビカラ種のクロコ約9千匹を養殖する。
 日本への輸出実現に向けハードルは高いと自覚している。品質や安全性など日本国内の厳しい基準を満たした上で、ニホンウナギに比べ3〜4割の低価格に抑える。ただし、出荷量が10トン以上にまとまらないと輸出は難しいという。
 イカペクシによると、インドネシアでのウナギ養殖は年々増えているが、小規模の個人経営がほとんど。イカペクシで多数の出資者による運営を強みとし、16年には年20〜30トンの養殖・輸出を目指す。
 将来は養殖場近くに加工工場も建設し、フィレやかば焼きにした加工食品の輸出も視野に入れている。
 渉外担当のスプリヤントさんは、「日本は食品輸入の規定も価格競争も厳しいが、インドネシアでも高品質でおいしいうなぎを養殖することで、日本市場参入のチャンスはある。今後、ますますビジネスの可能性は高まる」と期待を膨らませている。
■日系企業の支援も
 イカペクシは13年発足。会員数は現在約1300人、加盟社数は約50社に上っている。会員はいずれも、外国人技能実習生を受け入れる日本の公益財団法人・国際人材育成機構(略称アイム・ジャパン)のプログラムに参加し、実習生として日本で2〜3年間の研修経験を持つ。
 活動の一つとして、インドネシアで働く日本人や操業する日系企業のサポートも目指している。大阪に支部も設けている。
 会員の年齢は30〜40代と若く、日本から帰国し日系企業に勤めたり、起業準備を進めたりした後に、多くが企業経営者を務めている。業種は車部品などの製造、コンサルタント、飲食、旅行などさまざま。イカペクシは業種を問わず、日本人や日系企業の相談に対応できる態勢を整えたいとしている。
 スプリヤントさんも日本のメーカーで研修を受けた経験を持ち、規則を守る大切さや責任感、さらに文化・習慣を学び日本が大好きになったという。「日イ両国の事情を知っている私たちだからこそできることがある。日系企業やインドネシアで働く日本人にとって安心・信頼される組織にしたい」と語り、交流を呼びかけている。
 イカペクシへの問い合わせはスプリヤントさん(携帯0811・9605・858、メールjpn.supriyanto@yahoo.co.id)まで。(毛利春香)

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