4月に販売制限も 補助金付き燃料 政府がいよいよ本腰か

 国家予算を圧迫しているとして、内外から削減を求める声が上がっている燃料補助金をめぐり、政府がいよいよ販売制限に踏み切る姿勢を見せ始めている。燃料価格上昇につながる補助金削減は、スハルト政権崩壊の引き金ともなるなど、社会不安を招きかねない問題として、ユドヨノ政権下でも延期が繰り返されてきた。経済成長率が堅調に推移する一方で、インフレ率が歴史的な低率にとどまっているタイミングをとらえ、懸案となっていた補助金削減に踏み切ろうという勢いだ。

 三日に今年初の閣議を行ったユドヨノ大統領は、議題の一つとなったエネルギー政策に絡み、「石油燃料と電気料金の補助金に関してわれわれが現在選択したのは、使用量を管理・制限することだ。無駄遣いをなくすことで、補助金は減ることになる」と決意を表明した。
 これに先立つ二日、ハッタ・ラジャサ経済担当調整相、ジェロ・ワチック・エネルギー鉱物資源相、石油・ガス下流部門調整機関(BPHミガス)幹部らは燃料補助金政策に関する会議を開催。BPHミガスのアグス・ブディハルトノ委員は、四月にも私用車への補助金付きプレミウム(レギュラーガソリン)の販売を停止する方針をぶちあげた。
 会議後の会見でアグス委員は「三カ月間かけて、新しいシステムの検討を進める。公共輸送機関、漁業従事者だけがプレミウムを購入できるようにしたい」と話した。電波によるID情報遠隔管理システムのRFIDを用い、公共交通機関の燃料消費を管理し、燃料の横流しの防衛策にする考えを示した。
 政府は補助金燃料の販売制限策の導入に向け、近く国会との審議に入る見通し。昨年は国会の反発により頓挫したが、ジェロ・エネルギー相は、今年はすでに補助金削減を盛り込んだ二〇一二年予算を国会が承認したため、導入を認める公算が高いとの見方を示した。

■中銀も前向き
 補助金削減は財政健全化と絡み、市場の関心が高い。補助金は二〇一一年予算の歳出の約一割に当たる百二十九兆七千三百億ルピア。補助金の恩恵を享受しているのは低所得者層よりも自家用車を持つような中間層以上という意見もあり、市場からは補助金よりもインフラ分野など公共の利益に資する項目に振り分けるべきだと指摘されてきた。
 中銀のダルミン・ナスティオン総裁は英字紙ジャカルタポストに対し、「燃料補助金削減は今年のインフレ率見通しを四・五%から、〇・六?〇・九%上昇させそうだ」と語り、補助金削減を前提とした経済見通しへのシフトを進める姿勢を見せた。
 市場関係者は削減の実現性が高まったとの見方を示す。「ダルミン総裁は削減の可能性に言及してきた。従来に比べれば政府と中銀が積極的で、ポジティブな材料が多い」。投資格付けについては、「IMF(国際通貨基金)などが重要な要因とする財政健全化につながる補助金削減がなされれば、昨年末に格付け会社フィッチがインドネシアを投資適格に引き上げたことに格付け大手のS&P、ムーディーズらが追随する動きもありうる」と語った。

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