20/130試行錯誤の野菜栽培 ビナデサの西村昭代表
日本の野菜を栽培するビナデサの西村昭代表の3年半は試行錯誤の繰り返しだった。「なんでこんなこと始めたんだ」と考えることもしょっちゅうだという。気候が違う南国での栽培に戸惑いながら奮闘する西村代表に聞いた。
3年半で栽培を試したのは130種で、栽培可能と判断したのは20種のみ。気温が高いインドネシアでは、冬を越すことで味や香りが良くなる品種の栽培が特に難しい。
例えば試験栽培中の三つ葉は一冬越すことで繊細な香りが出る野菜。インドネシアで普通に育てると、葉が大きく成長し過ぎたり、香りが弱くなってしまう。
わざと日陰を作って栽培するなど、強い日照を調節する工夫が必要になる。農場は中部ジャワ州では1400メートル、西ジャワ州では900メートルの比較的涼しい高地に開いた。「三つ葉に限らず、日本の標準の収穫期間とは関係なく、育った大ききやそれまでの気象条件から収穫を判断している」。
農薬を使わないため、害虫対策もトウガラシやニンニクの液をまき、網をかけるなどの工夫を、組み合わせながら実践している。
比較的インドネシアでの栽培が容易な作物もある。西村代表は「そばは寒い所で育つイメージがあるが、実は暑い方がよく育つ」と話す。日本と同じように手入れをすればほぼ同様に育つが、湿害に弱いため、雨期の時には水はけを良くするなどの注意が必要になるという。
農業をするうちにインドネシアでも若者の農業離れが進んでいることを知る。自社の野菜を売るのはもちろんだが、「品質が高く利益が出る農業を広めることで、若い人が農業を続けるサポートができれば」とも考えている。(堀之内健史)