干ばつ深刻化 雨不足続き 18州で被害 エルニーニョが影響

 乾期により、国内18州で干ばつ被害が報告されている。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は25日、フローレス島、スンバ島、ティモール島などからなる東ヌサトゥンガラ州を視察し、貯水池の建設計画期間を短縮するなど数万ヘクタールに及ぶ干ばつ被害への対策を急ぐよう指示した。
 雨不足の被害は東ヌサトゥンガラ州以外にも西ジャワ、中部ジャワ、東ジャワ州などに広がっている。
 地元メディアによると、東ヌサトゥンガラ州はもともと乾燥した地域で、同州の一部では、今年に入ってから干ばつにより数千人分の食料が不足しているという。
 同地で農業を営むサルティンさんは「1ヘクタールの農地に水を引くため、ポンプを借りなければならない」と頭を抱える。ポンプのレンタル料は1ヘクタール当たり1日10万ルピアで、出費がかさんでいるという。
 コメの収穫量が国内最大規模の西ジャワ州では、雨不足による干ばつが6万ヘクタールの農地に影響が及んでいると同州政府は試算する。
 気象庁(BMKG)は例年に比べ乾期が長引いていると指摘。今年は異常気象を引き起こす「エルニーニョ現象」がインドネシアの乾期を長引かせると分析した。
 航空宇宙研究所(LAPAN)はエルニーニョ現象に基づく指数(エルニーニョ監視指数)が「今年は過去5年で最も高い」と分析。同研究所は、過去に指数が上昇した1982〜83年、97〜98年にも深刻な干ばつ被害が発生し、15年ほどの周期で起きており、今後の対策が急務と指摘した。
 ジョコウィ大統領は25日、アムラン農業相らと東ヌサトゥンガラ州クパン県を視察し、2017年までにラクナモ貯水池を完成させることを明らかにした。
 当初完成まで5年間かかる予定だったのを3年間に短縮するもので、干ばつ対策への同大統領の意気込みを強調した。総工費7600億ルピアの同貯水池が完成すれば、1250ヘクタール以上の農地に水を供給できる計画になる。
 アムラン農業相は、異常気象に備え100万ヘクタールの農地に水を供給するかんがい施設を整備する方針を示していた。同相は干ばつの被害に遭いやすい農地が国内に20万ヘクタールあると指摘する。
 食糧調達公社(ブロッグ)によると、インドネシアは昨年タイとベトナムから42万5千トンのコメを輸入した。ジョコウィ大統領は3年でコメを自給率100%に引き上げる目標を掲げている。(4面に関連記事)

エルニーニョ現象
太平洋の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての海域で、海面の水温が平年に比べて高くなる現象。海面の水温について基準値を出し、基準値との差などが判断資料となる。エルニーニョ現象がひとたび起きると1年程度続き、世界中で異常気象が起こるとされる。同現象が起きるとインドネシアでは、「貿易風」と呼ばれる東から吹く風が通常よりも弱くなる。するとインドネシア領域にある積乱雲が東へ移るため、降雨地域が太平洋側へ移動する傾向がある。

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