減らない虐待・育児放棄 子どもの日に訴え KPAI

 国家子ども保護委員会(KPAI)のスサント役員は23日に迎えたインドネシアの子どもの日に合わせ、虐待や子どもに無関心な親などによる育児放棄が増加しているとし、「親は子どもが思い通りになると考えてはならない」と訴えた。 

 社会省によると、児童虐待の報告は年間約3千件。しかし、虐待を目撃した隣人や警察官に口止め料を支払って隠すケースが横行しており、件数は氷山の一角でしかないという。
 離婚や親権争いなど家庭内問題に子どもが巻き込まれるケースも増加。KPAIに寄せられる相談で最も多いのは、児童保護法についてで、統計を取り始めた2011年から今年4月までに6006件の相談があった。その他では子育てに関する相談が3160件、教育問題が1764件、麻薬など薬物関連が1366件、ネット犯罪や性犯罪に関連する内容が1032件だった。

■子育てには対話
 親を尊敬する素直な子どもを望むあまり、子育ての中で、しつけとして身体的・心理的虐待を加えるケースが増加。スサント氏は「親を尊敬し、しつけがきちんとできている子どもは良い対話を通して育つ。恐怖心を抱いている親を尊敬することはできない」とし、社会規律についてきちんと説明することが、子どもが物事を判断する能力を高められるとした。
 さらに子どもに無関心な親も問題視した。テレビなどの電子機器に夢中にさせ、子どもを放置すると精神発達に悪影響があると説明。また両親が仕事で忙しい場合も、子どもとのコミュニケーションを取る必要があるとした。中でも西ジャワ州政府は、子どもと話す時間を毎日、最低20分は設けるよう呼びかけているという。
 KPAIは児童保護法の厳罰化を訴えるとともに、虐待を受けた子どもたちに対しカウンセリングなどのサポート体制が整っていないと指摘。これを受け社会省は、家庭内の問題の根本を明らかにしたり、子育てのアドバイスなどをしたりするプログラムを設けた。今後、3万7千人の親を受け入れるという。
 社会省の2014年のデータによると、孤児やストリートチルドレンは290万人にのぼる。育児放棄されている5歳以下の子どもは120万人おり、7〜15歳の子ども230万人が学校に通っていない。 (毛利春香)

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