レバラン 喜びを共有 帰省者の事故激減 2億人のムスリム
1カ月のラマダン(断食月)を終え、インドネシアの2億人を超えるムスリムは17日、レバラン(断食月明け大祭)を祝った。レバランはムスリムにとって最重要の祝祭。ラマダン最終日の16日夕から、各地で断食を終えた喜びを共有し合った。
ルクマン・ハキム宗教相は16日、宗教省でイスラム団体代表らと月の満ち欠けの観測結果を協議、17日にレバランを迎えると発表した。16日夜は各地で祈りの声や太鼓の音が街中に響いた。花火は早朝まで上がり、お祭りの雰囲気が続いた。
翌日午前7時ごろには、正装したムスリムたちがモスクや広場に集まり、レバラン最初の祈りを捧げた。ジャカルタ特別州のジャロット副知事も17日、世界最大級のイスティクラル・モスクで礼拝した。同モスクには20万〜25万人が集まったという。
レバランを行楽地で迎える人も多く、通常よりも行楽地の宿泊価格は値上がりした。西ジャワ州バンドン市のノボテル・ホテルはレバラン期間中の宿泊料金を約2倍に値上げ。全156室は21日まで満室だ。バンドン市の他のホテルもほぼ満室だという。「今年はレバラン休暇が学校の休みと重なり、観光業は比較的好調」(ホテル関係者)という。
北ジャカルタのアンチョール公園には、レバラン後の2日間で15万人以上が訪れた。前年に比べレバラン期間中の来場客は10%以上増加を見込んでいる。
運輸省は17日、地元メディアにレバラン初日の交通事故が激減したことを公表した。今年は17日時点の集計で247件の交通事故があったことを報告。前年同期間では1396件の事故が発生したため、82%も事故の発生件数を減らすことができたと発表した。
死者数も前年の310人から53人に減少した。ジョナン運輸相は、官民で帰省者を支えるプログラムを実施したことや、二輪車の帰省者に対し休憩地点を設置したことなどが事故の減少につながったと説明した。また、チパリ新高速道路の開通で、ジャワ北岸道(パントゥラ)の利用者を軽減したことも背景にあると話した。
バドロディン・ハイティ国家警察長官は17日、「今のところ、大きな混乱もなく平穏にレバランを迎えられた」と語った。(佐藤拓也、10.11面に写真グラフ)