心に響く太鼓の音 ブドゥック作りに密着

 中央ジャカルタ・タナアバンの大通り、マス・マンシュールにヤギ革製の太鼓「ブドゥック」の露店が立ち並ぶ。タムリンシティ近くのブドゥック店で働くフォウジ・サプトラさん(21)が、「作っている場所は向こうだよ」と指差す。タブニ通りの路地にたたずむ市場「パサール・インプレス」でブドゥックを作る人びとを追った。

 パサール・インプレスでは普段、中部ジャワや西ジャワ、ランプン州のヤギや牛計100頭ほどを飼育し、食肉や衣料用の革などをレストランや商店に向け販売している。ただ、ラマダン(断食月)の時期だけはブドゥックを作る。ブドゥックはラマダン中の礼拝の呼びかけや、レバラン(断食月明け大祭)を祝う伝統行事「タクビラン」で喜びを表現するためにたたき鳴らす楽器だ。
 同市場の出資者の1人、ファトゥラさん(63)は「タナアバンの露店で販売されているブドゥックは、すべてここで作られている」と説明する。
 ブドゥック作りは胴部分と打面部分に作業工程が分かれる。胴はドラム缶。ドラム缶はガソリンスタンドなどで一つ約8万ルピアで買い取ったものという。ドラム 缶は小さいもので直径約30センチ、大きいものは同40センチ〜60センチほどになる。フタや底をおのとハンマーを使ってくり抜いていく。
 他の従業員が同時進行で、打面や取り付け部分を作る。鉄棒を曲げて溶接し、各ドラム缶の直径に合わせていく。その後、数日間天日乾燥させたヤギの革を、鉄枠のサイズに切り取り、ボルトでとめ、胴に取り付ける。最後にカミソリで表面の毛皮をそって完成だ。
 ブドゥックを作るのにそれほど時間はかからない。男性従業員4人がかりで1〜2時間、1日に30個ほど作ることができる。大きいブドゥックは一つ35万ルピア、小さいものは15万ルピアで取り引きしている。
 リヤカーにブドゥックを積み上げ、マス・マンシュール通りへと向かう従業員の後ろ姿を見守るファトゥラさん。「今年も大通りでは、商人たちがたたくブドゥックの音が鳴り響きにぎやか。タクビランの日にはもっと盛り上がるよ」と笑顔で話した。(山本康行、写真も)

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