新規参入に反発 ジャカルタでも議論浮上 ウーバー人気

 配車アプリ大手の米ウーバーのサービスがジャカルタでも問題になってきた。既存のタクシー会社よりも、安い価格でサービスを提供することで利用者の人気が高まっているが、客を奪われかねない既存のタクシー業界は、ウーバーの配車サービスに反発。国会でもウーバーだけでなくスマートフォンを利用する配車サービスの規制を求める動きがでてきた。

■警察が取り調べ
 ウーバーと、既存の交通業界の摩擦の発端は先月19日。警視庁がウーバー運転手を取り調べのため一時拘束したことから表面化した。地元メディアによると、陸上運輸組合(オルガンダ)がアプリを通じてウーバーの運転手を呼びつけ、双方を巻き込む騒動となり警察による一時拘束にまで発展した形だ。
 大手タクシー会社・エクスプレスグループの役員で、オルガンダのジャカルタ支部長を務めるシャルフハン・シナンジン氏は「(ウーバーは)違法に営業している」ことを強調。税金を支払わずに、既存のタクシー業界よりも安い価格でサービスを提供していると非難した。
 ジャカルタ特別州のアホック知事も「ウーバーが営業許可を取らない限り、営業を認めない」姿勢を示した。
 ウーバーの地域代表ジョシュア・ホウ氏は「ジャカルタで営業許可の申請中」としている。

■国会でも議論の対象に
 ウーバーをきっかけに、他の配車アプリサービスも議論の対象になっている。オルガンダは、オジェック(バイクタクシー)の配車アプリを開始し、現在約1万人もの運転手が所属する「ゴジェック」にも反対している。
 アホック知事はゴジェックに対しては一転、支援する方針を示しており、首都圏専用路線バス「トランスジャカルタ」と連携する計画を立てている。
 オルガンダのシャルフハン・ジャカルタ支部長は、ゴジェックがアホック知事の支持を受けていることに対し「二輪の配車サービスは公共交通の法律の枠組みの中にはない」と反対する。
 国会第5委員会(運輸・インフラ担当)は今月に入ってから、アプリを通じた交通サービスの法令を検討していることを明かした。ユディ副委員長は地元メディアに「(ITによる)革新性のあるサービスを妨害するつもりはない」と前置きし、新規参入者の事業内容を明確化することを求めた。

■タクシーより安価
 ウーバーは昨年8月にジャカルタに進出。首都圏であれば、10分前後で迎えが来る。ジャカルタでは、2種類のサービスを提供し、価格の安い「ウーバーX」は基本的に「既存のタクシーよりも安い」と利用者からは好評のようだ。実際に乗ってみた。
 アプリで事前に登録した後に、配車を依頼。画面には待ち時間と自動車の移動状況のほか、運転手の顔写真と名前が表示される。運転手が到着すると、メールで案内が届く。あらかじめクレジットカードを登録しているので、料金を支払う煩わしさはない。
 ウーバー運転手のルクマンさんは長年勤めた大手タクシー会社を辞め、3カ月前から自家用車を使いウーバーの運転手に。「規則がたくさんあった以前の職場(大手タクシー会社)に比べ、ウーバーは自由」。給料は以前より下がったというが、働きやすさを考えるとウーバーのほうが充実しているという。利用者は日本人や中国人など海外の利用客も多く、1日平均10〜20人前後を乗せる。「女性の利用客のほうが多いのは以前(の大手タクシー会社)と同じ」と、ジャカルタでは女性にも人気を得ているという。(佐藤拓也)

◇ ウーバー 2009年に米のベンチャー企業がサービスを開始。スマートフォンのアプリから配車を依頼。目的地に到着すると、あらかじめ登録しているクレジットカードで、自動的に料金が支払われる仕組み。基本的にタクシーよりも安価で安全、利便性のあるサービスを提供するのが売り。各国の既存業界や、政府当局と摩擦を起こしながらも急速に成長を続け、現在では58カ国・300都市以上で展開する。

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