たこ揚げと花火の季節がやってきた なくてはならない存在 買物客集まるパサールパギ
西ジャカルタの華人街グロドックにある伝統市場「パサールパギ」。高架道路の下に、金色の飾りがついた提灯や文房具、天然石などの店がひしめき合う。近くのアセムカ通りにせり出すように、花火店も棚を広げ、ひっきりなしに買い物客が訪れる。
店員のレザ・アプルリーさん(19)によると、花火は1カ月のラマダン(断食月)が明ける前夜、車に乗り込んでブドゥック(太鼓)をたたきながら街中を回ってラマダンの終わりを知らせる伝統行事「タクビラン」の際によく使われる。タクビラン当日は、夜空に大きな花火が上がり、激しい爆音と煙が町中を包み込む。
レザさんの店では、20種類以上の手持ちや打ち上げ、ロケットなど各種花火と爆竹をそろえている。毎日午前7時から開店し、日が沈みかけた午後5時過ぎになると、仕事帰りの人々や子ども連れの家族が花火を買いにやってくる。売れ筋は、15本入り2万ルピアの手持ち花火。店で最も高価な打ち上げ花火が1セット15万ルピア、一番安いもので1パック5千ルピアの爆竹などがある。ラマダン中の売り上げは、1日数百万ルピア。普段よりもよく売れる。
インドネシア国内に花火生産工場は少なく、イムレック(中国正月・春節)などの伝統行事で花火を使って盛大に祝う習慣がある中国から商品を輸入している。レザさんは「一つ一つの商品パッケージには、注意書きなどがインドネシア語で書かれている。中国の生産工場にとっても、インドネシアは花火輸入のお得意さん」と説明した。新年イベントを祝う時に市民がよく買いにくるほか、華人との結びつきが強いグロドックでは、イムレックのシーズンも、地元華人が店に足を運ぶことも多い。ラマダンを過ぎれば、次は新年が稼ぎ時という。
「花火は子どもたちを含めてだれもが喜びを表現するための道具。イベントになくてはならない存在です」とレザさんは花火の意義を説明するのだった。(山本康行、写真も)