女性の結婚16歳は合憲 憲法裁判所  宗教団体の見解尊重 婚姻法の違憲審査

 憲法裁判所はこのほど、女性が結婚を認められる最低年齢を16歳と定めた婚姻法(1974年制定)7条の違憲審査請求を棄却した。女性団体が18歳に引き上げることで低年齢の結婚を減らし、女性の教育を受ける権利の保障を訴えたが、憲法裁は現行の法定年齢を問題視しない宗教団体らの見解を尊重し、同条項は合憲と判断した。

 アリフ・ヒダヤット憲法裁長官は「結婚年齢を引き上げても、高い離婚率など婚姻に絡む社会問題が解決される保証はない」と判断。現行の規定が教育を受ける権利を保障した憲法21条に反するとの女性団体の訴えには「女性の人権問題は、社会的にさまざまな問題が関係している」とし、結婚年齢との関連性は低いとの認識を示した。
 裁判官9人のうちマリア・ファリダ・インドラティ氏は他の8人とは異なる意見を表明。74年の同法制定当時から社会状況は変化しており、法改正が必要になっているとの見解を示した。
 今回の婚姻法の違憲審査では、政府が公認する6宗教の団体代表が出廷し、各宗教における結婚年齢に関する教義や解釈を説明。男性18歳、女性16歳と定めた現行法への異議は出なかった。
 また憲法裁は、異教徒間の結婚を禁止する同法2条の違憲審査でも「婚姻法は社会の安定と国民の権利を守るために制定された。異教徒間の結婚を容認することは、社会的混乱の一因になり得る」と指摘。信教の自由を保障する憲法に反することにはならないとして訴えを棄却した。
■低年齢結婚が深刻化
 結婚年齢の条項の違憲審査を請求した女性児童団体は、憲法裁の判断に対し「身体的・精神的に未熟な女性が出産し、母子ともに問題が起きることを国が容認するものだ」と批判した。
 背景には国が低年齢結婚を長年放置し、諸問題が深刻化しているとの危機感がある。中央統計局(BPS)の2013年の調査によると、現実には13〜15歳の女性の結婚は全体の20%を占め、15〜17歳の30%を合わせると18歳未満は半数に達する。
 家族計画調整庁(BKKBN)の昨年の調べでは、全国6760万世帯のうち、11.69%にあたる790万の世帯主が女性で、その大多数は離婚経験者。再婚率は低く、女性が養育費を負担する傾向が強いため生活に困窮する家庭が多い。また妊産婦の死亡率は、12年の調査で10万人中359人、総数は07年の9千人から1万8千人へと5年で倍増した。
 女性団体は、国会で婚姻法改正に向けた動きがあり、結婚年齢に関する規定だけでなく、同法全体を見直す議論を活発化させていきたいとしている。(藤本迅)

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