外国人の不動産所有検討 高級物件、奢侈税収増狙う

 政府は、高級物件に限定し外国人に対し不動産所有の門戸を開くことを検討している。奢侈(しゃし)税の規定改正に伴う措置で、増収を狙う。所有を認めているシンガポールやマレーシアに追随し、外貨流入による経済効果を期待している。

 バンバン財務相は先週、ジャカルタで開かれた不動産業界との討論会で、高級マンションに限定し、外国人に所有を認めるため規定改正を検討していると明らかにした。対象となる物件タイプと下限価格については検討中とし、「ただし、一戸建て住宅は認めない」と強調した。
 現行の、在留外国人による住宅所有に関する政令(1996年第41号)では、「国有地の利用権を付与する形で、該当土地に建設されたマンションに限り、外国人に購入を認める」としている。
 しかし、現在、外国人の不動産所有権は事実上認められていない。土地法では使用権が25年間付与され、20年間の延長と、さらに更新する場合、25年間認められる。これらを改定し、外国人がより取得しやすくし、所有も可能なように規制緩和する考えだ。
 今回の所有を認める規制緩和の動きは、奢侈税規定改定によって税収増を図ろうとする政府の思惑がある。
 討論会に出席したシギット・プラムディト税務総局長によると、政府は「車両を除く奢侈税課税品に関する財務相令」(2013年第130号)を改定し、高額不動産の課税項目に売買価格も盛り込む方針。
 現行の同令では広さだけを課税項目とし、床面積150平方メートル以上のマンション、コンドミニアム、区分所有権形式のタウンハウスに対し、評価額20%の奢侈税を課税。区分所有権のない350平方メートル以上のタウンハウスにも同率を課している。
 改定案では税率を10〜20%とするが、▽マンション、コンドミニアムは、売買額20億ルピア(約1900万円)超か床面積150平方メートル以上、▽タウンハウスは、同20億ルピアか同400平方メートル以上、と課税条件を広げる方針だ。

■業界、歓迎と難色
 インドネシア不動産協会(REI)のエディ・フッシー会長は、外国人への門戸開放を歓迎する一方、不動産への奢侈税増税につながる政策には難色を示す。
 一例として、外国人が所有できる高級マンションの条件価格を100億ルピア以上とした場合、年1万件の売却が見込め、売上げ100兆ルピア以上を課税対象とでき、大きな税収につながると試算。一定の経済効果を見込む。
 ただし「経済成長が鈍化している中では、奢侈税増税につながる政策は見送った方がよい」との見解を示した。
 外国人に対する不動産所有の緩和をめぐっては、ユドヨノ政権下の2010年から議論が高まり、2年前には転売禁止を条件に国内で事業を行う者に取得を認めるなどの方針が固まっていた。(前山つよし)

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