親日国家である理由考えて 村下俊文さん スラバヤ日本人学校校長

 「まだ来たばかりだが、スラバヤはとても良いところで、もう大好きになった」。スラバヤ日本人学校(SJS)の校長に着任した村下俊文さん(60)。今月に来イしたばかりだが、インドネシア人の優しさに触れ、すっかり好きになったという。笑顔で気さくに話す一方で、学校教育については熱く語った。

■海外は2度目
 東京都武蔵村山市立雷塚小学校で校長を務め、今年3月に退職。1983年から3年間、シドニーの日本人学校で教えたことがあり、海外勤務は2度目になる。
 「次は校長として日本人学校に行き、限られた環境で頑張る子どもたちや先生と一緒に学校づくりをしていきたいという思いがあった」
 SJSの校歌の「朝雲分けて 燕帰りぬ ブランタスの里に 幾千里 日本生まれの子を励まして われらスラバヤの子 燕に学ぶ 努力の証」の歌詞に共感し、すばらしいと感じたことから、これまで「わかば」だった学校だよりを「つばめ」に変更した。
 「日本が寒い時はインドネシアのような南国まで飛び、春が訪れると日本へ戻っていく。ここスラバヤでもツバメを見て、感慨深く感じた」

■現地と交流を
 SJSは小・中学部合わせて61人の小規模校。「個に応じた教育ができ、やりがいもあるが、大勢の中でもまれる社会にいずれ出ることを考えると、同級生と友情を育んだり、時には反発しあったりしながら、自立心を養っていくことが難しい」と長所と短所をあげた。
 村下さんは保護者の意見も取り入れながら、教員らと一丸となってよりよい学校をつくろうと奮闘している。教員の出入りは多いが、この学校ならではの伝統やルールを根付かせ、学力の維持も目指す。勉強だけでなく、インドネシアとのつながりを作れるよう、子どもたちには現地の人と交流する機会を設ける。「スラバヤに滞在して良かったと思って、帰国してほしい」と語った。

■英語より「教養」
 SJSで掲げる目標の一つは「グローバル教育」。村下さんは英語などの外国語でコミュニケーションをとれる人が、本当に活躍できるグローバル人材とは限らないとし、大切なのは「教養」だと訴えた。「国際社会で通用する自立心があり、自信をもって自己主張ができる力が必要。英語教育も大切だが、まずは日本語や日本の文化・伝統、歴史をきちんと学び、教養を身につけなければならない」と説明した。
 一方で、インドネシアの歴史を学ぶ必要性も訴えた。「子どもたちにはインドネシアで親日感情が高い理由を考えてほしい。親日だからと甘んじることなく、インドネシアを知り互いの文化を尊重できるようになってほしい」と語った。(毛利春香、写真も)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly