バンドン精神再確認へ AA60周年会議開幕 実務者会合に86カ国
アジア・アフリカ会議(AA会議)の開催から60周年を記念する会議が19日、中央ジャカルタのジャカルタ・コンベンションセンター(JCC)で開幕した。初日は高級実務者会合が開かれ、バンドン精神を再確認する「バンドン・メッセージ」などの採択に向けて意見調整が進められた。
インドネシア外務省によると、会合には86カ国から担当者が参加。日本からはアジア大洋州局の下川眞樹太審議官らが出席した。20日の閣僚級会合には40カ国の閣僚が出席する。
会議は「バンドン・メッセージ」と「新アジア・アフリカ戦略的パートナーシップ宣言(NAASP)」、パレスチナ支援表明の採択を目指す。
1955年の会議では独立後間もない旧植民地国が「バンドン十原則」を宣言。基本的人権と国連憲章の尊重、すべての民族と国家の平等といった価値を掲げた。
レトノ外相は記者団に、アジア・アフリカ地域が現在も紛争や貧困、社会の不公正といった課題を抱える現状を指摘し、60年前の「バンドン精神」を再確認する意義を説明した。
ただ、会議は非同盟諸国が冷戦下で存在感を示す場から、両地域がいかに連携して発展していくか話し合う場に姿を変えた。バンドン・メッセージでは、バンドン精神に依拠しつつ、今日の世界情勢に即したかたちで政治と経済、社会・文化の各分野の協力の新たな未来像を打ち出す。
具体的な取り組みはパートナーシップ宣言でまとめる。同宣言は2005年のAA会議50周年記念会議でも採択されている。今回、レトノ外相が強調するのは、「南南協力」を越えた協力だ。発展途上国間の連帯にこだわらず、先進国の知見を生かして両地域の発展につなげる方策を模索する。
国家樹立を目指すパレスチナに対しては、別に宣言を用意して後押しする。50周年会議ではパートナーシップ宣言の一項目でパレスチナ問題に言及したが、個別の宣言として採択することで参加各国のメッセージをより強く打ち出す。(田村隼哉、写真も)