ムスリム人口首位陥落へ イ、印パに抜かれる ピュー研究所2050年予測

 米国の調査機関ピュー・リサーチ・センターはこのほど、世界の人口動態を宗教別にまとめ、現在ムスリム人口で世界首位のインドネシアが2050年までにインドとパキスタンに抜かれると予測した。世界全体では今世紀後半にムスリム人口が歴史上初めてキリスト教徒の人口に並び、その後、世界最多となる見込みだ。

 同センターによるとインドネシアのムスリムは2010年時点で2億912万人(国内の87.2%)で世界最多。予測では50年までに2億5682万人に増加するものの、インドが3億1066万人で首位、パキスタンが2億7311万人で続き、インドネシアは3位に後退する。
 インドネシアでは50年までに総人口が2億9726万人に増え、ムスリム人口率は86.4%に微減する。バリ州などに住むヒンドゥー教徒は10年から10万人増え415万人(国内の1.4%)で、世界6番目の規模。キリスト教徒人口率は9.9%から11.2%となる見通し。
 ヒンドゥー教徒が大半のインドで、ムスリムは国内人口の14.4%(10年)を占めるにとどまるが、50年までに人口率を18.4%に伸ばす見込みだ。 
 世界全体で見ると、10年時点ではキリスト教徒が21億6833万人と最多。世界人口の31.4%を占め、50年までに29億1807万人に増加するが、人口率は変わらない。また、キリスト教徒の38%をサハラ砂漠以南のアフリカの人々が占める見込みだ。
 世界で2番目に多いムスリムは10年の15億9970万人(世界の23.2%)から50年までに27億6148万人へと急増する。人口率を29.7%とし、キリスト教徒人口率に肉薄する。
 この傾向が続いた場合、70年ごろに32.3%前後でムスリム人口がキリスト教徒人口に並び、2100年までに34.9%でのキリスト教徒人口(33.8%)を上回ると予測されている。

■出生率高いムスリム
 ムスリム人口増加の背景として、若年層の厚みや出生率の高さが指摘されている。10〜15年の合計特殊出生率は世界全体の2.5に対し、ムスリムは3.1、キリスト教徒は2.7とみられる。最も多産のサハラ以南のアフリカ(全体で4.8)でもムスリムは5.6、キリスト教徒は4.5だった。
 50年に国民の半数以上をムスリムが占める国の数は10年から2カ国増えて51カ国となる。一方、国民の半数以上をキリスト教徒が占める国は同期間に8カ国減って151カ国。オーストラリアや英国は50年の時点でもキリスト教徒が多数派を維持するが、人口率はそれぞれ67.3%から47%、64.3%から45.4%に低下する。フランスやオランダ、ニュージーランドでは信仰を持たない人が多数派となる見込みだ。(田村隼哉)

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